2人きり ページ28
目を覚ますと、板張りの見慣れない天井が見えた。
慌てて周囲を見渡すと、ここはログハウスのようなこじんまりとした部屋だった。
けれど、なぜかベッドは3つ並んでいる。
小さな木枠の窓から差し込む明るい光が眩しい。
ゆっくりと身体を起こし、記憶を辿った。
どうやらジョウが立ち去ったあと、極度の恐怖と緊張から解放された私は気を失ってしまったらしい。
その証拠に格好はあのときと変わっていない。
だとしても、ここは一体どこなんだろう──目を擦りながら立ち上がったところで、部屋のドアが開いた。
「起きたか」
入ってきたのはゾロだった。
「え、まって。私あれからどうなった？」
焦り気味に手ぐしで髪をとかしながら問う。
「倒れたから連れてきた。ここはおれたちの宿だ」
「えっと、おれたち？」
「そういや言ってなかったな。一緒に旅をしてる奴が2人いる。弟分みたいなもんだ」
その弟分の名前はヨサクとジョニーだと説明される。
今は2人とも鷹の目の情報収集のために外出中らしい。
そこまで説明されて、ベッドが3つあることに納得した。
「だいたいな、普通の人間が銃突きつけられて平気なわけねェだろうが」
「そう、だよね」
「どんな事情があったのかは知らんが」
強い口調で指摘するゾロの表情は険しい。
「……A、お前はちょっと無理をしすぎだ」
ドキリとした。
9年前、くいなのお墓の前で私を慰めてくれたあの頃のゾロと今のゾロとが重なる。
「本当に。勘弁してくれ」
物凄い剣幕で近づいてくるゾロ。
そして目の前まで距離をつめてきた瞬間──ぎゅっと強く抱きしめられた。
「えっ、ちょっと、え、ゾロ？？」
背中に回ってくる大きな腕と手は、私を離そうとする気配がない。
心臓がふわりと浮いたような感覚に、鼓動は速くなる。
「なにも今回だけじゃねェぞ」
ぴったりとくっついているせいで、振動とともに伝わる声。
「あいつとおれが喧嘩すれば、いつも間に入ってなんとか仲直りさせようとして。あいつが死んだときだって、涙を見せようとしなかったよな」
「……」
「お前が突然姿を消したときは正直、気が気じゃなかった」
ゾロは私の頭の上に顎をのせて、さらに続ける。
「世界一の剣豪を目指すおれは、いつもAのそばにいて守ってやることができねェ。だから、心配させんなよ」
私はようやく、かすかに痺れた手をゾロの背中に添わせた。
「……ちがう。言ったよね。私、ゾロが思ってるよりも強いって」
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
