3段目 ページ24
そっと引き出しを開ける。1段目。
手帳、万年筆、インク、たくさんのビブルカードが入れられたケース。
次の引き出しを開ける。2段目。
開けた瞬間、小さな声が漏れた。
そこには、息を飲むほどたくさんの拳銃と弾が保管されていたからだ。
見てはいけないものを見てしまったような気がして、急いで2段目の引き出しを閉める。
これ以上、ジョウの恐ろしさを知りたくない。
お願いだから次の段にお目当ての映像電伝虫が入っていてくれ、と願いながらぎゅっと目を閉じた。
3段目──。
悪魔の実図鑑とファイリングされた手配書の横に、2匹の映像電伝虫。
ベッドで眠るジョウを横目に、映像電伝虫に記録されている映像を確認する。
映像電伝虫の目から光が放たれるのを、私は固唾を呑んで見守った。
壁に映し出されたのは、夜の繁華街の裏路地の物陰から撮られた映像だった。
暗くて確認しづらいものの、2人の男の姿が見える。
そして、そのうちの1人はシルエットですぐにわかった。それは、紛れもなくゾロだった。
左耳の3連ピアスが動く度に、暗い裏路地に差し込む紫のネオンに照らされてチカチカと光っている。
ゾロが刀を振り上げたところで、あわてて映像を止めた。
それから、もう一匹の映像電伝虫のほうも確認した。
こちらには特に何も記録されていないようだった。
念のため映像電伝虫は2匹ともバッグの中に入れ、大急ぎでシャワーを浴びる。
一錠飲めば4時間は眠り続ける効果があるとはいえ、早めにここを出ておくに越したことはない。
バスタオルを脱衣所のカゴに放り込み、私は外へ駆け出した。
「ゾロ、これであなたは大丈夫……」
高台の坂を一気に降りながら呟く。
住宅地を過ぎ、街へ出た。
途中でレンタルの自転車を借り、目指すのは海──もちろん父の仕事場がある場所とは反対側の海だ。
映像電伝虫のデータを確実に消す一番の方法は、電伝虫を海に沈めてしまうこと。
電伝虫の命を奪うと考えると、残酷で心苦しいけれど、背に腹は変えられない。
私はただひたすら自転車のペダルを漕いだ。
自転車を20分ほど走らせると、風が磯の香りがするものへと変わる。
額の汗を拭い、白くて大きな灯台が見える港に自転車を停めた。
あとはこの海に電伝虫を投げるだけ。
ごめんね、役割を果たしてくれてありがとう──電伝虫にそう伝える気持ちで、思い切り投げようとしたそのとき。
電伝虫を握る私の右手を、誰かがガシッと掴んだ。
恐る恐る振り向くと、そこに立って私を見下ろしていたのは──眠っていたはずのジョウだった。
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
