でっかい愛

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カレンダー、チェックするけど、
ヒートの時期には、まだ１０日もある。


「風邪かなあ・・・」


そう思て出社したものの。


微かに嫌な予感はしててんな・・・


久々に恋心抱いてること自覚して、
単純な身体が反応してもうたとか？


まさかな、そんなことはないやろうけど。


予定外のヒート。


高２の春、初めてヒートを迎えた頃は、
たまに予定狂うことあったけど、

二十歳過ぎてからは、全くなかったのに。



たまたま資料室で一人の時で良かった。


念のために、抑制剤は持ってるけど、

突然やってきたヒートは普段より、何倍もきつい。


経験したことないような、体の火照りと疼きと、寂しさ。


その場にうずくまって、嵐が去るのをやり過ごすしか出来へん。


手が震えて、ズボンのポケット探られへんねん。


こんなとこ誰かに見られたら、終わる。


誰も来ませんように。


祈ってたのに、


「神ちゃん？どうしたんっ？！」


よりにもよって、
重岡に気付かれてまうなんて。


「神ちゃん、大丈夫か？」


オメガやってこと、
一番、知られたくなかった、相手。


「大丈夫やから、あっち行ってや」


「全然、大丈夫ちゃうやん」


駆け込んできた重岡は、

自分のスーツのジャケット脱いで、
ばさっと俺の肩に被せた。


俺の匂い、感じてるはずや。


うなじを見て、喉を鳴らしたやろ？


すぐに察して驚いてるはずやのに。


「神ちゃん、薬は？持ってる？」


落ち着いた優しい声で聞く。


「薬、ズボンのポケットやねん。
手が震えて・・・」


「ごめんな、ちょっと触るで？」


俺のズボンのポケットに重岡の手が入ってくる。


一層、体の奥が疼いて、苦しい。


自分ではどうしようもない、
身体の奥底から、沸き起こる衝動。


この熱を、
抱いて落ち着かせて欲しいって本能的に求めてしまう。


いくら好きな人でも、

相手がアルファやない限り、
それは無理なことやのに。


軽蔑されたくない。

ベータの重岡と対等でおりたい。


生まれつき、叶うことない願い。


「水ないけど、飲める？」


カプセルを俺の口元に運んでくれる。


ごくりと無理に飲み込んだ時。

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