でっかい愛

４ ページ4

「いや、それもちゃうけど、いうか、うん。
好きになった人がタイプっていうか」


「え・・・」


「俺、酔うてんかな、変な暴露話してるな！
俺に恋愛って！一番似合わへんよな」


なんて答えたらええんか分からへん。


やってさ、期待してまうもん。


男も対象ってだけ。

俺が好きって言われたわけちゃう。


ドキドキしてるん、バレてまうかも。


叶わん恋なんて、虚しいだけやのに・・・


それなら、最初から、放棄した方がええ。


「重岡、モテそうやし。
似合わんことないやろ」


ええ大人が、そんなことぐらいしか、よう言わん。


「神ちゃんこそ、バリ、モテやん。
女子社員がきゃあきゃあ言うてる。
勿論、男もやけど」


「それは知らんかった。
俺も恋愛は苦手分野やねん」


誤魔化し切れたかな。

オメガやって気付かれたら、終わり・・・

　
「似たもん同士やな！」


重岡は屈託なく笑う。


ズキンと痛む胸。


重岡にも伝染ってしまえばええ・・・



















肌寒い春の夜。


話すこと尽きひんかって。


ほのかに灯らす月の光に包まれながら、
遠回りして歩いて・・・


終電近い、駅のホーム。


「ごめん、こんな時間まで引っ張ってしもて。
神ちゃんとおるん、楽しいてな！」


「うん、俺もやで。
意外やったけど、
俺と重岡、話合うねんなって」


「意外は失礼やで！神ちゃん！」


「ふは、ごめん」


「あのさ、神ちゃん、また誘ってええ？」


「ええに決まってるやん。
同期やねんし、」


言い訳ばっか。


重岡はどう思てんの？


深い意味なんか、ないか・・・


終電より１本前。

滑り込んできた電車に乗り込んで。


反対方向に帰る重岡は、
ホームから笑顔で手を振ってて・・・


離れてくのが、寂しくて。


俺、おかしなってしもたな。


二人きりで過ごしたのは、たったの数時間。


それだけで。

ううん、もっと前から、重岡のこと見てたから。


なんでこんなに惹かれんねやろ。


重岡はベータで、俺はオメガで。


結ばれることはないって、知ってるのに。

５→←３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す