でっかい愛

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奥底から湧き起こる昂りを鎮めてくれるのは、
この香りだけ・・・









翌日、明け方、目が覚めた時には、

裸で、重岡のジャケットを抱いてた。


しかも重岡に求められる夢なんて見て。

(映像はぼやけてて不鮮明やったし、
最後までの経験ないせいか、
夢でも途中までやったけど)


中学生みたいにシーツ汚してるし。


ジャケットは汚れてなくてほっとする。


こんな自分が恥ずかしくてたまらん。


巣作りなんて、作り物の世界の話かと思ってた。


実際、自分がやってしまうなんて。


自己嫌悪で消えたい・・・


普通の男と違って、
自分で慰めたからって、

お腹の奥底から湧き起こる畝りのような熱は、
覚めることはない。


アルファに委ねるしかない、
自分で手に負えへん身体なんて。


情けなくて、存在してること自体、罪のように感じる。


会社に連絡を入れて、
インフルエンザの証明書を送っておく。


安田室長にだけは打ち明けた方がええよな。


頭では分かってんのに、
心が拒絶してる。


『普通』


でいたい。


それだけが、高校生の頃からの、俺の願い。




それから３日間、点滴に通ったおかげで、

ヒートが始まって５日目の朝にはすっきりしてた。


体も軽いし、言いようもない寂しさも消えた。


スマホの重岡とのトーク画面は、

先週の木曜日で止まってしまったまんま。


神山智洋連絡もらってたのに、返信、遅くなってごめんな。コンペの件、感謝してる。これからよろしく。それから、
プリンありがとな!
やっぱり最高に美味しかった。
実は、借りてたジャケット、染み取れへんらしくて。お詫びに代わりのジャケット、プレゼントするわ。出来たら今度一緒に選んでもらっても良い?


俺としては、精一杯の勇気出して送ったライン。


ジャケット、
ほんまは、クリーニングになんて、出してないねん。


汗と涙でぐちょぐちょやから、
一応、軽く手洗いはしたけど、
重岡の香りがなくなるのが嫌で。


洗剤さえ使われへんかった。


クリーニングして返すって言った時から、
無意識に、自分の物にしたいなあって、
潜在意識にあったんや。

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