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「左右、上下…？」
もちろんその場で左右上下を確認したって何もないわけで。自室に籠り、和紙と向き合う。
大体ひとらんは何でこんな暗号を彼らに預けたのだろう。それすら意味が分からずに窓の外を眺める。ここから彼の農場が見える。朝から晩まで非番であればそこにいるはずの彼の姿が見えない。
それが何だか落ち着かなくて、もやもやしてしまう。
「やめたやめた。早く暗号解かなきゃ…」
大先生からもらったヒントから私はあいうえお表を近くにあった資料の裏に書いていく。
す ゅ か わ あ は ほ ゆ
す、の前後はしとせ。左右はくとつ。全部を抜き出していくとひとつだけ文章となる。
「下に読んだら……しゃおろんのへや…？
シャオロンの部屋…！シャオロンの部屋だ！」
私はベッドから飛び起きて、次なる目的地へと走った。
.
..
...
「やあ、我が親友よ。和紙をよこしな」
「なんやねんそのテンションは。でもまあ、おめでとさん。お前の頭でよう解けたな。これ最後の暗号やで」
「すんごい馬鹿にしてるね…」
渋々私が彼から和紙を受け取ろうとすると何故か彼の動きが止まる。なんだろう、と彼の顔を見ればいつもの煽りポメラニアンはどこへやら子供を見つめる慈愛に満ちた母のように私を見つめていた。
……鳥肌だ。
「え、その目…なに…？」
「ひとらんはお前に託したからな」
「いやいや、なに？気持ち悪いんだけど」
「やっぱなし。お前なんか不幸せになるんやな」
「ひどい」
ガチャン。無情にも彼の部屋の扉は閉まった。
「シャオロンさん？シャオロンさん！？あ、ちょっと扉閉めないで！シャオロン！！？」
何度も扉を叩いたが彼が顔を出すことはなかった。仕方なしに一人でそんな扉に背をつけて、最後の暗号を読む。
《・・−− ・・− −−・−・ ・・ ・・− ・−・−− ・・ −・・− ・−・−− −・・− −−−・− 》
「最後にどんな難解なものが来るかと思ったら、モールス信号…？」
海軍隊員としてモールス信号の読み解きは必須である。特に艦長と副艦長の間柄であるひとらんと私は、互いに連絡をする時必ずこのモールス信号を使っていたのだ。私はモールス信号を時間をかけることなく読み解いていく。
「のうじょうで、まってます」
モールス信号の答えにさっきはいなかったくせに、と私は口角を上げた。
最後に和紙に手を滑らせて…全てが合致して走り出す。自分勝手な彼に文句の一つかけてやらなければ気がすまなかった。
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鯉口(プロフ) - 赤羽 紫音さん» コメントありがとうございます！ (2020年4月4日 3時) (
レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 紫音 - 凄い！ (2020年4月4日 2時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - ノアさん» 主催者の鯉口です。コメントありがとうございます(*^^*)まだまだ続きますので更新をお待ちください！ (2020年2月29日 1時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
ノア - めっちゃ好きです！ 文才分けて欲しいぃ((( 毎日、楽しみにさせてもらってます！ 更新頑張って下さい！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: 47bc0266fa (このIDを非表示/違反報告)
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