知らぬ顔の半兵衛（tn） ページ14
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「Aさんがいなくなった…！」
______結婚式当日、
お互いの家や俺の友人達がその事態に慌てている中、俺は二階にあるバルコニーに向かう。
ポケットに偶々入っていた煙草に火をつけて、ふーっと煙を吐き出す。普段から煙草を吸う人間ではないが、今日だけは許して欲しい。
「…匂い付いたら怒られるんやろなぁ、」
今ここに居やしない彼女の事を考えながら煙草を吸い続ける。ぷかぷかと浮かんで消えていく煙が憎たらしく感じた。
逃げた花嫁は俺の許嫁だった。
お互いの両親が勝手に決めた事だったが嫌ではなかった。毎週末は必ずデートに行ったし、毎日ではないが電話やメールもしていたし、彼女の誕生日には柄にもなく花束を贈った事もある。
彼女もそれを喜んでくれたし、俺の誕生日にプレゼントをを渡してくれた。だから、決して仲が悪くない。
けれど彼女が消えた理由で思い当たるのは、俺が昨日彼女に向けて言ったことだけ。
昨日の晩の事。雰囲気のいい店で食事をしていた時、俺は彼女にこう言った。
「…Aさん」
「はい？」
「俺らの結婚は家が決めたことや。もし好きな人がおったら、その人の方に行ってくれても構わん」
俺は彼女が好きだ。
そんな彼女と夫婦になれるのは、俺にとっては幸せでしかない。
でも彼女は？
そう思うと途端に胸が苦しくなった。だからってこんな事を言わなかったらいいんじゃないかと自分でも思ったが、それは彼女に対して不誠実だと勝手に思ってしまった。
ただ、素直に「Aさんが好き」だとか、そんな言葉を最初に付け足して言えば良かった。そう後悔するけれど、それはもう遅かったらしい。
「……そんな事言ったら、本当にどこかに行っちゃいますよ」
そう言った彼女の苦しそうな顔がどうにも頭から離れない。
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鯉口(プロフ) - 赤羽 紫音さん» コメントありがとうございます！ (2020年4月4日 3時) (
レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 紫音 - 凄い！ (2020年4月4日 2時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - ノアさん» 主催者の鯉口です。コメントありがとうございます(*^^*)まだまだ続きますので更新をお待ちください！ (2020年2月29日 1時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
ノア - めっちゃ好きです！ 文才分けて欲しいぃ((( 毎日、楽しみにさせてもらってます！ 更新頑張って下さい！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: 47bc0266fa (このIDを非表示/違反報告)
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