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「ちゃんと覚えてますよ！
前任がやっていた街の見回り、検問、敵の見張りに貴族派の監視！
その仕事の引き継ぎ先が俺だったんでしょう？」
「そうだ。
月に攫われてしまったから、その穴を埋めるためにお前を選んだ。
前々から幹部になることを志願していただろう」
「そうやけど、俺がやりたい仕事じゃないねん！」
「わがままを言うな。お前の体質を考えての結論だ。仕方ないだろう」
「でもグルッペンさ――お前に何が出来る？――」
チーノの言葉を塞ぐように、グルッペンは言った。
言葉に詰まったチーノは、えっと、その、と声を詰まらせながら返事を探す。
「硬度2.5。
劈開はないが溶けやすく、加工もしやすい特徴を持つお前が、戦争で無傷で戦えるのか？」
「戦えます！」
「お前の自信はどこから来るんだ……」
グルッペンは顔を俯かせてため息をついた。
チーノの根拠のない自信を視線で感じながら、ちらり、と彼は隣の黒髪の男を見る。
黒髪の男も小さなため息をついて首を横に振っていた。
チーノの瞳は、蜂蜜を日に当てたような透明な輝きを持っていた。
拳をぎゅっと握って、グルッペンの前に突き出す。
「俺は確かに、モース硬度が低い琥珀になった。
けど、勇気だけは人一倍強いって思ってます！ だから、俺も戦争に参加させてください！」
「あのな、チー――ええやん――……ノックは？」
今度はグルッペンの言葉が遮られた。
遮った声の主はチーノの後ろ、正確にはこの執務室の扉の前にいる。
全身黒い、暗殺者のような恰好をして三人の前に現われたのは一人の青年だ。
男性にしては長めの髪を揺らしながら、青年は口元を緩めてチーノの隣に立つ。
青年がチーノに手を伸ばし、勢いよく肩を組むと、グルッペンはこら、と青年を叱った。
「割れるんでやめてくださーい」
「悪かったって！ そんな嫌な顔せんといて」
「ゾム、お前は何しに来た？」
グルッペンが呼んだ青年の名前はゾム、と言うらしい。
彼はチーノからグルッペンへ視線を向けると、明るい声で用件を述べた。
「明日の戦争についてちょっと話したいことあんねん。
でも忙しそうやし、また後で来るわ」
「いや、いい。今聞こう」
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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます！最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (
レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、？あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)
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