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「貴族令嬢に手を出したそうですよ」
それは見張り役から聞いたらしい。
ショッピはやれやれ、と頭を押さえながらため息をついた。
「兄さんもやるなあ」
「笑い事じゃないですよ。貴族派だったらどうするんですか」
帝国は今、貴族派と皇室派の二つに政治勢力が分かれていた。
チーノの日常業務には、貴族派が怪しい動向をしていないか監視するという仕事も含まれており、皇室派の情報が向こうに渡ってしまうことは大変危ない。
監視状態の鬱が、グルッペンたちの動向について知っているはずがないが、どうなるかは分からない。
ショッピは内心ヒヤヒヤしていた。
関わりを持った令嬢が、もし貴族派であったとするなら、籠絡させるためにわざと鬱に近づいたのか、など悪いことも考えてしまう。
現在、鬱を安全に守れるのは、ショッピだった。
最も適していると任せられたショッピは、よぎる不審に苛立つ。
「大丈夫やって。俺ももっと見回ってみるわ。
その令嬢についても、後で詳しく聞くつもりやし」
「頼みます。
ただでさえ月との戦争が終わらないのに、内部で争い事なんてたまったもんじゃない」
「貴族派にグルさんを押さえ込むことは不可能や。
あの人以外に、この国を守れる人はいひん」
ショッピは黙って頷いた。チーノは腰に両手を当てて言う。
「ショッピ君は鬱先生のことを頼む。
辛いだろうけど、久々に会って、やっぱり心配になった」
「……そうですね。
俺もそろそろ、早くあの人には復帰して欲しいですよ。人手はいくらあってもいい」
「もう7．8年近くはあの状態やけど、きっと戻ってきてくれるって、信じて待っとこ」
「はい」
そこで、ショッピはようやく顔を覆って脱力したようにうずくまった。
彼の方に手を置いて、チーノは思う。
(月の戦争もだけれど、国内部の問題も難しくなっとる。
グルさんは鬱先生のこと、どないするつもりなんやろう)
複雑な問題が多すぎて、頭が痛い。
月の人も、鬱のことも、貴族派の動きも、早くどうにかできたらいいのに。
そう思いながら、チーノは歯の奥をぐっと噛んだ。
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次回 sypとutの設定紹介
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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます！最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (
レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、？あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)
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