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 ちなみに、コネシマは陸軍大臣で、陸相とも呼ばれる地位に就いている。
陸相は中将の兵士が就任する役職で、こちらも、この国を支える最高幹部の一つでもある。




 最高幹部は全部で三つあり、最後の一つである教育総監の役職にはトントンが就いていた。
トントンは皇帝の右腕でもあったが、教育者でもあるのだ。






「外に行った彼らが気になるんですね」
「いえ、そんなことは」
「でしたら、早く机の書類を片付けてください。
今日中に整理しなくてはいけないんです」





 チーノの考えなどお見通しだ、というような顔で、エーミールは作業を続けた。
彼らが全ての作業を終えたころには、正午をとうに過ぎていた。








「休憩しましょうか」






 エーミールが声をかけた。
幹部補佐の仕事に集中力を切らしかけていたチーノにはありがたい提案であった。









「いつも思っていることがありまして」
「何がですか?」





 エーミールが困り眉で腕を机の上で組んだ。
シャツに守られた宝石の腕は机との接触で僅かにコツッ、という音を立てる。





 チーノが聞き返せば、参謀長は困り眉のまま笑った。
彼の髪の毛が陽の光を通して鮮やかな光を帯びた。
それは、若い木の幹の色をしていた。
色素の薄い瞳はきらきら、と淡く光る。





「飲めないのに、紅茶を入れようとしてしまうんですよ」




 もう百年は経つというのに。




 そう言ったエーミールがじっと机を見つめた。





「俺たちは食べることができなくなっちゃいましたからね」
「ええ。不便な身体です。娯楽がないなんて」





 身体が宝石化したことにより、彼らが生きるのに必要な要素は、呼吸と睡眠だけになってしまった。




 酸素を吸う動作は失われておらず、身体の中でどう消費されているのかは謎だ。
睡眠も、夜になれば身体が重くなって眠たい、という感覚に襲われる。




 睡眠に関しては元々、人間は日光が必要な生き物であったからか、その名残があるのではないか、という見解であった。







スランプ気味です。お許しくだされ……。

3→←【3】癖



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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます!最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、?あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鯉口 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年5月17日 0時

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