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昔から、良くも悪くも素直に生きていることを自覚していた。
人はどうして偽善者の仮面を付けるのだろうか。笑顔を振り撒いて、思ってもいないことを吐いて。疲れやしないのだろうか。
私としてはめんどくさいと思うし、ありのままで生きている方が楽だ。なので人として最低限のこともしてこなかった。だから先程もお礼なんて言わなかったし、無表情のままだった。
まぁこれが私である。D組の落ちこぼれ達はBやC組に馬鹿にされてストレスが溜まりに溜まっているもんだからこれくらいは見逃してもらえるであろう。
これがCより上の人間だったら問題になっていたかもしれないが。彼女のリボンは茶色。どうせD組だ。そして私もD組。対して指摘されることでもないと思う。こんなんで咎められても逆にめんどくさい。
教室につき、扉を開ける。
と。
一気に視線がこっちを向いた。D組から抜けれなかった屈辱からかピリピリしているみたいだ。
事前に確認しておいた自分の席へと向かう。真ん中の一番前か。椅子を引いて座ると隣の席には誰もいない。
私が教室に入ったのは最後の方だったのでもうそろそろ来ないとまずいのだが。
もしやさっきの女子生徒ではないよな。流石に気まずいぞ。と思っていた矢先に後ろの扉からなるべく音を立てずに入ってきたのがその生徒であり、廊下側の席へと座ったのでほっとする。
「はいはい、皆さん席についてー」
そんな声が聞こえて前を向いた。
どうやら教師らしい女性が教室に入ってきたようだ。
「サンクチュアリ・ワーグナーと申します。ここのクラスを任されました。二年間君達のクラスを持つつもりでいるのでよろしくねー」
なんとも典型的な挨拶が響く。そして。
「はい、それではまず自己紹介をしましょうか。挙手制で__」
__ガタン。
「エマ・アークライト。よろしく」
それだけ言って座る。
挙手制だと言われた矢先にこれだ。流石に先生も驚いたようでぽかんとしていた。
「……あ、アークライトさんね、よろしく。じゃあ次……」
苦笑いを堪えきれていない先生を横目に私は配られていた教科書を読み始めた。
最初の印象なんてどうでもいい。私は青春なんて謳歌したくない。というよりかは一人でいる方が気が楽だ。
「今日は来ていませんがアダム・ガーフィルドさんというお友達がいます。仲良くしてくださいねー」
どうやら隣の席はそいつらしかった。
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