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「悪目立ちし過ぎじゃねぇのエミー! あれにはビビったわー」
「何、チビ。黙れよ」
「いや辛辣! 辛辣過ぎませんかエマ・アークライトさん!」
「だと思うなら日頃の行いを見直せ」
昼休み。教室で、父さんが作ってくれたお弁当を食べていた時のこと。食べ終わったらしいチビが背後から話しかけて来た。お前いつも気配がないんだよ、ビビるだろーが。まぁそんなことは顔に出さないんだけとも。
このチビはアイザック・ティモシー。艶をきた金髪に深みのある青い眼。健康そうな小麦色の肌がヤンチャっぷりを引き出している。
そしてチビである。147cmとチビである。「男子ってああいうことするよね」的な行いしかしない。なのに何故かモテているのである。チビである。
否定はしないので自分がチビであることは理解しているのではなかろうか。
アイザックとは小学2年生からの付き合いである。転校生のアイザックと席が隣だったことが始まりだ。あの頃はちょろちょろと後ろをついてきてくれて楽しかったんだけどなぁ。
まぁそれなりに仲はいい……はずだ。
「それで? なんか用?」
「あぁ、いや……。お前の隣の席のやつのことなんだけどさ……」
珍しく真剣な表情になるアイザック。先程よりも声を潜めた。
こいつのこんな顔久しぶりに見たな。
「"の"が多い、やり直し」
「なんで?!」
「え、えー……お前の、隣の……あー……」
律儀にも考え直してくれるアイザック。お前そういうところだぞ。
そこでチャイムがなってしまう。私は残っていたご飯をかきこんで噎せた。
「お、おい、大丈夫か?!」
「へーきへーき、とりあえず席に戻りなって」
言いながらお弁当箱を片付ける。何か言いたそうにしていたアイザックだが先生が教室に入ってくるのを見ると急いで自分の席に戻って行った。隣の席のやつが何かあったのだろうか。
「A組からの転落者……ねぇ。くぅーっ、面白くなって来たぁ!」
第一章 隣席の転落者
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