【国見英】これを愛と呼ぶなら。#9

【誓のキス】 ページ24

______


言葉が出ない、という経験を、

この24年の人生の中で、おそらく初めてした。



A「似合う？」



純白のドレスに身を包んだ彼女は、

冗談などではなく、この世の誰よりも美しい。





______…いいのか、俺







国見「うん…やばい…」






______…こんな綺麗な嫁さん貰っちゃって





A「緊張するねー」




控室ですでに緊張した面持ちを浮かべるAの額に、

そっと口づけした。




国見「俺、あんまりしてない」


A「えー？うそ、すごいね」



国見「この人の旦那だよって見せつけてやれんじゃん」




と、言うと顔を赤らめて俯いた。


かと思えば、ぱっと顔を上げて。



A「んー、まあでも、初めてアキくんに

　 キスした時に比べたら、全然マシかも」



思い返すように呟いた。



国見「告白してくれた時の？」



Aが首を横に振るので、

今度は俺が首を傾げる番だった。




A「…あのね、中学で付き合ってた時ね…


　 アキくんのお家遊びに行ったのに

　 アキくんソファで爆睡しちゃったの覚えてる？」


国見「…なんとなく」




言われてみれば、あった気がする程度だが。




A「…私、そん時ね、

　 アキくんの唇奪っちゃったの」




てへ、と舌を出して笑う彼女を前にして、

一気に崩れ落ちた。






______…あぁ、どこまでも可愛くて腹が立つ。







ドレスが崩れないように抱きしめて、




国見「…絶対、離してやんないから」


A「絶対、離れてやんないから」







誰もいない控室で、キスをした。

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