【及川徹】これを愛と呼ぶなら。#8 (ページ25)

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指輪を見て、

A「キレイ…」

と目を輝かせるAを、もう一度抱きしめる。

及川「…しばらくは、あっちでバレーしたくて。

　 Aには、寂しい思いもいっぱいさせる。」

顔を見られないように頭を押さえつければ、

少し苦しそうな声を出した。

及川「…でも、俺はAが好き。ずっと好き。」

心臓が痛いほど音を立てて。

_____…かっこ悪い。

こんな姿、見せるつもりじゃなかったんだけどな。

最後まで余裕ある、カッコいい俺でいるつもりだったのに。

及川「…だから…勝手だけど…待ってて欲しい。

　必ず、迎えに行くから。必ず、帰ってくるから」

涙が出そうになって、Aを抱きしめる腕に力がこもる。

Aは、とん、と俺の胸を押して、

及川「！」

胸元を掴んで、キスをした。

A「…私、バレーしてる徹くんがすき。」

唇が離れると、

俺の目を、Aの明るい茶色の瞳が捉えてそう言った。

A「…夢に向かって努力できる徹くんも、

　優しくてかっこいい徹くんも、

　バカみたいに性格悪い徹くんも、全部すき」

及川「なんか今さりげなくディスったよね？」

搭乗時間まであと5分だぞ！と

バッタバッタと俺を探し回る声と足音が聞こえて。

A「だから、待ってる」

及川「うん……待ってて、」

最後にもう一度、触れるだけのキスをして。

顔を見合わせて、笑った。

見送る君に、背を向けて走り出した。