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______
ごめんね、と笑って、
ありがとう、と泣いた。
そんな彼女の頬に、手を伸ばそうとするけれど、
どうしても、手を動かすことができなかった。
彼女の気持ちが、動くことはないんだなって。
分かってしまったから。
こんなに綺麗な涙を流すAさんの、
想っている人が俺じゃない、なんて。
______…俺であって欲しかった、なんて。
おこがましいのか、わがままなのか。
A「…あのね、国見ちゃん」
国見「…はい」
Aさんが、考え込むようにぽつりと言った。
A「私、"あの時"、国見ちゃんにキス出来たよ」
予想外の言葉に、思わず目を丸くする。
A「…国見ちゃんと、キス、したかったよ」
照れたように笑うAさんを、
悪いと思いつつもう一度抱きしめた。
国見「…ほんと?」
Aさんが、首を縦に振る。
A「私国見ちゃんのこと、好きだったの。
あの時は…伝えるの下手くそで、ごめんね?」
今度は俺が、首を横に振った。
彼女の言葉が、心を温かく満たしていく。
と、同時に、
襲ってくるは後悔の念。
______…本当に、俺は
______…なぜ、彼女を手放したのだろうか
今はもう届かない、
俺のものにはならないAさん。
抱きしめた力を、少し、強めた。
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作者名:カカシ | 作成日時:2019年12月11日 13時