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担任の先生が入ってきたのと同時に、名残惜しいけれど仕方なく本を閉じて前に向き直る。周りからはまだちらほら話し声が聞こえてくるから、なかなか賑やかなクラスになりそう。
「ねえ、きみ、名前なんて言うの?」
と、そこに隣から声が聞こえて、さらに机をとんとん叩かれる。ぱっと目を向けると、明るい茶髪に、ピアス、着崩した制服、という出で立ちの男の子。
『……あの、私?』
「ん?うん」
『…戸田A、です』
「へえ、Aちゃんね、よろしく」
田中樹、と名乗ったその人。ジュリ、ってかわいい名前だな、なんて思えたのもほんの一瞬。先生の話を聞こうともせずあらゆる方向の人と挨拶を交わして、案の定注意されていた。それでも全く聞く気ナシという様子で、懲りずに私に話しかけてくる。
「さっき慎太郎と一緒にいた子でしょ?」
『あぁ、…はい』
「可愛いなって思ってたんだよね、Aちゃん」
『……はぁ、どうも、?』
「難しそーな本読んでるね」
声が大きくて、コミュニケーションの取り方が軽くて、私にとってあまりにも未知の存在で。見た目の派手さもあって正直、怖い、と思ってしまって。早く休み時間になれ、と祈りながら曖昧な返事をすることしか出来なかった。
しばらくそんな風になんとなくで話を聞いていると、何を思ったか、急に真面目な顔になった田中くん。そんな顔、するんだ。なんて少しどきりとしてしまう。
「…ねえ、Aちゃん」
『…、…はい?』
「もしかして、俺のこと怖い?」
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作者名:春野菜 | 作成日時:2020年7月23日 20時