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恋愛経験値0の私による、陽菜ちゃんお助け大作戦。

まず、どうにか理由をつけてジェシーくんを呼び出して、3人で行動し始めた後、また何か理由をつけて私だけその場を離れ、2人きりになってもらう。

大作戦と言いながら、ただそれだけのこと。それでも何せ恋愛経験値が0なものだから、やけに緊張してしまって、心臓がどうにかなりそうだった。




『…あの、ジェシーくん』

「ん、Aちゃん、どしたの?」

『…向こうの、自販機、使っていいんだって、
飲み物買いに行くの、着いてきてくれない、かな』

「? うんいいよ、行こう」

『あの、陽菜ちゃんも、呼んでくるね』




我ながら意味が分からなさすぎる誘い文句だな、と思いつつ、とりあえず連れ出すことには成功。ジェシーくんが優しい人でよかった。




『あ、…わ、私、係の仕事があるんだった、
ごめんね、2人で行ってもらってもいいかな…』




陽菜ちゃんに目配せして、その場を離れる。

ジェシーくんからしたらあまりにもおかしい一連の行動だったと思うけど、この際仕方がない。

こっそり振り返ると、同じタイミングで陽菜ちゃんもこっちを向いていたから、がんばれ、と小さく拳を上げてみる。すると、陽菜ちゃんは不安げながら前を向いて、こっそりピースサインを返してくれた。




「あれ、Aちゃん?」

『あ、樹くん…』




元の場所に戻る途中、こちらに向かって歩いてくるところだった樹くんと鉢合わせた。

どこに行くんだろう、なんて思いながらそのまま通り過ぎようとすると、何故か私と同じ方向に歩き出す樹くん。自販機の場所でも探しているのかな、と思い至ったけど、よく見ると、手には何か飲み物の缶を持っているみたいだから、そういう訳でもなさそう。




「…何してたの?」

『え、何って…?』

「さっきジェシーと一緒にどっか歩いてったじゃん」

『あ、…えっと、ちょっと用事、があって』

「…ふうん」




樹くんは、私の言葉に納得しているのかいないのか、曖昧な反応のまま黙り込んでしまって。不思議な気まずさを感じつつ、黙々と歩いていると。




「…Aちゃんって、じつは魔性の女?」

『…、はい?』




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作者名:春野菜 | 作成日時:2020年7月23日 20時

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