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調理がひと段落して、あとは焼くだけというところになって、楽しげな笑い声と共に現れたジェシーくん。
陽菜ちゃんの後ろに隠れ、…られてないけど、肩を持って屈むような姿勢になって、また大きく笑う。
「び、っくりした、え、何してるの？」
「樹に焼き鳥にされる〜！HAHA！」
「ええ？なにそれ？」
どうやら火起こし組は暇になり始めたらしい。やっぱり騒がしいな、と思いながらふと、ジェシーくんと話している陽菜ちゃんの顔を盗み見る。
…なんかちょっとだけ、頬が赤い、ような。
「あぁ、もう、ほんとうるさいね」
そう言って笑う顔が、なんていうか、いつも通りにも思えるんだけど、いつも以上にかわいく見えて。
「これ焼けた？」
「…、それはまだ、かな」
いつも自然体な陽菜ちゃんが、ジェシーくんと話す時だけ、ほんの少し緊張しているように見えて。
「待って焦げちゃう、誰かこれ食べない？」
「あ、俺が食う、ちょうだい」
「、ん、どうぞ」
恋してる時の顔ってこんな風なのかな、なんて思ってしまって。それからしばらく、陽菜ちゃんの一挙一動が気になって仕方なかった。
「……A、どうかした？」
『えっ』
「さっきから気になるよ」
上手く誤魔化しながら眺めていたつもりだったのに、陽菜ちゃんは既に私の視線に気づいていたらしい。
直接確認しようにも状況的に難しかったから、こっそり観察させてもらうだけに留めていたけど、こうなったらいっそひと思いに聞いてしまおうということで。
『…ジェシーくんのこと、好きだったり、する？』
お手洗いに行くという名目で２人きりになって、なんでもないように問いかけてみる。すると。
「……そ、んなんじゃないよ」
『うそ、陽菜ちゃん、ほっぺた真っ赤だよ』
頬どころか耳まで真っ赤にした陽菜ちゃん。
「……、真っ先にAにバレるとは思わなかった」
『…陽菜ちゃん、かわいいね』
思わずそう言うと、いよいよりんごみたいになってしまった陽菜ちゃんに、緩く肩を叩かれた。
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作者名：春野菜
| 作成日時：2020年7月23日 20時
