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週明けの学校は心做しかいつもより騒がしく感じる。
これまで生きてきて教室の様子なんて気になったこともないのに、今日ばかりはどうしても、北斗くんの姿を探し、目で追ってしまう。
土日の間にあの本を読んで、また新しく話したいことが出来ていたけど、自分から話しかけにはいけなくて。何かの間違いで北斗くんの方から話しかけに来てくれたりしないだろうか、なんて僅かに期待していたけれど、もちろんそんなこと、あるはずなかった。
「おはよ、元気？」
『…あ、おはよう、元気だよ』
いつもギリギリに登校してくる樹くんは、今日も同じくギリギリの時間に滑り込んできた。そして、やっぱり私にいろんな話をしてくれる。
休みの間にしたこととか、何でもないことだけど、樹くんが話すとなんだか面白くて。
「なにこれ、何かかわいーの持ってる」
と、樹くんは、机の上に置いてあったかすみ草のしおりを見つけると、それを手に取って眺め始める。
『それ、…北斗くんから貰ったの』
「え、北斗って、あの北斗？」
別に隠すことじゃないから、と思って事実をそのまま言うと、樹くんは意外そうに聞き返してきた。
不思議に思いながらも頷くと、それまで何かにつけて話を繰り広げていた樹くんが、途端に黙り込んで何かを考え始めた、…かと思えば。
「ねえ、今週のどっか、暇な日ない？」
みんなで遊びに行こ！なんて、突然の話題の方向転換に驚きつつ、いいよ、いつでも暇だよ、と返す。
「あれ、でも、ピアノは？」
痛いところを突かれて、心臓がどきりと痛んだ。
『……いまは、練習減らしてるから、大丈夫』
「…そうなんだ？」
これ以上触れてほしくないな、と思いながらなんとか言葉を返せば、樹くんはちょっと微妙な顔をしながらも、そのまま納得してくれた。
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作者名：春野菜
| 作成日時：2020年7月23日 20時
