cafe au lait (ページ12)

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「よろしく」

『…あ、…よろしく、お願いします』

担任が図書委員担当だったせいで、早速仕事があるから、と呼び出された放課後の図書室。先生はまだ来ていないから、まさかの松村くんと２人きり。

「…」

『…』

とにかく、気まずい。

『……あの、松村くん』

「…なに？」

『本、好きなの？』

「あ～、うん」

私にしては珍しく頑張ってみたものの、再び沈黙。

無理に会話を続けようとしなくたっていいんだけど、なんとなく、黙っているのも違う気がして。

「この間の本、読み終わった？」

『…、…うん』

「え、早くない？」

『…面白かったから』

「…いいよね、あの作家さん」

すると今度は松村くんの方から話題を投げかけてくれた。もっとクールな人だと思っていたけれど、話してみると物腰がやわらかくて、接しやすい人かもしれない。共通の趣味も手伝って、さっきまでの沈黙が嘘のように、徐々に会話が弾み始めた。

「…俺、実はあれまだ読んでないんだよね」

『えっ、絶対、読んだ方がいいよっ』

「、あぁ、うん、そうする」

思わず言葉に力が入ってしまうと、戸田さんってそんな大きい声出るんだ、なんて笑われてしまった。恥ずかしさもあったけど、それよりも、好きな本についての話が出来る人との交流が嬉しくて。

『…あ、そうだ…もしよかったら、これ』

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