４９話 ページ5
桜哉said
体育館での始業式が終わり、新しい教室へ戻ってきた。
本当は学級開きや自己紹介をする予定だったこの時間だが、
先生達が急遽会議をする事になったとかで、自習という名の自由時間と化している。
「楯野、お前は行かなくていーの？」
「え？」
突然できた自由時間。
ここぞとばかりに、ほとんどの女子がいわゆる�爛哀襦璽弸遒雖瓩吠各�している中、
隣の席の楯野は真剣な顔をして何やら本を読んでいた。
女子の世界はよく分からないが、最初からこんな調子でこいつは大丈夫なんだろうか。
「なんかほら･･････。あるんだろ？グループ作ったりとか。」
「ああ、私はいいの。」
「コミュ障かよ。」
「違うよ！ただ、なんかそーいうのってさ、面倒くさいんだよね。」
「あー、それは思う。」
「それにさ、今年は強〜い味方が同じクラスだから、大丈夫かなって。」
「･･････誰だよそれ。」
あくまで無関心を装いつつ、そう聞く。
「じゃあ、ヒントね！」
「うん。」
「えっとね、その人は、背が高いです。」
「ほう。」
「その人は、眼鏡を掛けています。」
「ふむ。」
「その人は、無愛想で面倒くさがりで猫背です。背骨が曲がってるのかもしれません。」
「･･････。」
「さあ、如月選手！回答をどうぞ！」
「･･････如月桜哉。」
「ピンポンピンポーン！大正解〜!!」
俺は楯野の�犇�〜い味方�瓩覆里�。そう思うと勝手に緩んでくる表情筋を抑えつつ、
「ワーイヤッター。」
──と棒読みで喜んでみる。
「あ！また棒読み！この感情無し男め!!」
「感情無し男って何だよ。」
こんな憎まれ口すら愛おしく思えるのだから、恋って偉大だ･･････。
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作者名：鈴蘭姫 x他1人 | 作成日時：2017年3月19日 10時
