60話 ページ16
菜々花said
「菜々花ちゃんバイバーイ!」
「またね〜。」
放課後。教室を出て、クラスメイトと挨拶を交わしながら下駄箱に向かって歩く。
今日、桜哉君に何で晴人君の事を下の名前で呼んでるのか聞かれた。
結局答えずに済んだんだけど、それには深そうでそこまで深くない訳がある。
桜哉君を好きになる前の男みんなに媚売ってた時代に、
テクニックの1つとして男子は全員“下の名前+君”という
好意を匂わせつつ女の子らしさもキープできる呼び方に統一していて、
それが今もクセとして残っていたのだ。
・・・・・・で、それはいいんだけど。
どうして桜哉君は、あんな事を聞いてきたんだろう。
普通、何で下の名前で呼んでるのかなんて気にならないよね?
これは、私が晴人君と呼ぶのが気に入らない、つまり晴人君と仲良くして欲しくない、
──って事は嫉妬!?
・・・・・・なんて、さすがに飛躍しすぎか。
すぐ自分のいいように考えちゃうのは片想いあるあるだから、気をつけないとね。
「楯野せーんぱいっ!」
「お〜、愛ちゃん!」
後ろから声をかけてきたのは、晴人君ともう1人の後輩の坂本愛ちゃん。
晴人君と同じく、やる気があって素直な良い子だ。
・・・・・・ある一点を除いては。
「先輩!今日一緒に帰ってもいいですか?」
「うん、一緒に帰ろ。」
「それでー、私が挨拶したらちょっと笑ってくれたんですよー!」
「普段あんまり笑わないから、ギャップ萌えっていうか、超カッコよかったですー!」
え、最近はわりと笑ってるよ?まあ、貴方には笑わないんだろうね。
「あと、こないだ身長小さい女の子は嫌ですか?って聞いてみたんですけどー。」
「そしたら身長なんて気にしないって言われたんですよ!照れちゃいますー!」
身長を気にしないと言っただけで、低身長が好きとは一言も言ってませんけど?
「もう、どんどん好きになっちゃって困るんです!桜哉先輩の事!!」
「ははは・・・・・・。」
そう。愛ちゃんは、桜哉君の事が好きなのだ。
入部した直後から怪しいとは思ってたんだけど、ちょうど1ヶ月くらい前に・・・・・・。
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作者名:鈴蘭姫 x他1人 | 作成日時:2017年3月19日 10時