92年前の話 ページ13
手のことを話しましたし、ここで働く職員の話をしましょう。
彼の話です。
先程の彼女を呼んでいた彼。
彼はとても時間に厳しく、真面目で曲がったことが大嫌い。全て完璧に何の狂いもなく仕事をこなす、完璧主義者というやつですね。
でも彼、腕が8本あるんですがそれを見た子供が怖がって泣いてしまったのがショックで、今も少し落ち込んでいるんです。
それを表に出すことはしませんがね。
そんな彼がここに来たのは、92年前のことです。
その当時、この図書館には時計がありませんでした。
館長が会議に遅刻してしまい、それを注意されたのが気に入らなくて、図書館の全ての時計を処分してしまったのです。
みんな時間が分からなくて遅刻すればいい! とかなんとか言ってましたね。
結局誰も遅刻はしませんでしたが。
でも時計がないと不便だと職員だけではなくここに訪れる客人からも言われ、また時計を置くことになりました。
以前の時計は全て処分されてしまっていたので、新しく買う必要がありました。
それでジャンケンで決めた結果、館長が買いに行くことになりました。
次の日に館長は13個の壁掛け時計を買ってきました。何でも知り合いに安く売ってもらったらしいです。
その時計は13個で1セットらしいのですが、形や装飾全てがバラバラで統一感がありませんでした。
不思議に思いながらも、その時計を館内のあちこちに設置しました。
あそこの壁にも掛けてあります。
時計が彼と何の関係があるかって? 話はここからですよ。
また次の日、彼は現れました。
彼は自分は1秒の狂いもなく、時を刻むことが出来る時計だと言いました。
あの13個の時計が彼だったのです。
時計の調子が悪いと彼の具合が悪くなり、彼が怪我をすれば時計が壊れる。一心同体というやつですかね。
時計が全て止まってしまった時が、彼の最期です。
彼は時計が置かれた場所から出ることが出来ません、それに館長が彼を気に入ったので、彼は今ここで働いているんです。
そうそう、彼が来てから館長が遅刻することがなくなりました。
あの人は時間を守るのが本当に苦手で遅刻上等といった感じでしたから。彼が来てくれて助かっています。
あ、時間と言えば、1つ思い出したことがあります。
次は28年前の話をしましょう。
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そこら辺の水道水(プロフ) - 神だ・・・神に出会ってしまった… (2020年12月29日 17時) (レス) id: 44bf365a1c (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - とても面白くて一気に読み進めてしまいました…! (2020年9月13日 21時) (レス) id: b13ee48946 (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - タイトルにつられてやってきました!めっちゃ面白いです (2019年8月17日 11時) (レス) id: a124146768 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!タイトルに惹かれて一気読みしました。面白かったです(*^^*)更新楽しみに待ってますねっ。 (2019年8月9日 13時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 何故か声が聞こえてきます......(幻聴)妄想が膨らんでとてもおもしろいです! (2019年8月6日 22時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年7月19日 17時