臆病と勇猛 ３ ページ8
「あ、ああ。駄目だ。だから駄目だったんだ」
床に転がったハッパの頭部を見て、今にも泣き出しそうな顔でロウさんが言う。
そう言いながらも、左手はしっかり残ったハッパの体を掴んで、右手はハッパの腕を通常ではあり得ない角度にねじ曲げていた。
『どう言うことだ？』
こっちを見て、エイトが私に尋ねた。
私だっていまいちよく分からない。でも予想していたより酷い。
「あ、その……、分からない」
『そうか、じゃあもういい』
と、エイトは目の前で起こった出来事にすっかり怯えきって腰を抜かしているイートの目と耳を覆った。
『見ない方がいい、こいつには刺激が強い。お前は大丈夫か？』
「え、あ、はい」
アリスさんに比べれば、と思ったが駄目かもしれない。
ハッパの体はあっという間に四肢を全て変な方向に曲げられて、床に投げ捨てられた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。そんなつもりはなかった、駄目だ。ユカ、早く逃げて、もう誰も傷付けたくないんだ」
ロウさんは泣いていた。でも、腕は新しい獲物を新しい獲物を探してめちゃくちゃに動いている。
「駄目なんだ。私の意思ではどうしようもないんだ」
一歩、ロウさんが私達の方から離れようとしたとき、腕はロウさんの首を締め始めた。
「あ、ロウさん！」
「大丈夫。いい、から。早く、行け」
どんどん首を締める力は強くなっているようで、ロウさんはかなり苦しそうだった。
どうすれば。このまま逃げても、ロウさんが死んでしまうかもしれない。でも、近付けば……。
どうしようか考えていると、たまたまハッパの頭と目が合った。
ハッパの頭はこちらに気がつくと、ニヤリと笑って口パクをした。
(わ、た、し、と、お、ん、な、じ)
なぜか頭だけでも生きているようだった。普通に考えてそれは異常なことだったけど、目の前のロウさんのことがあったのですんなりとそれを受け入れてしまった。
そして、自分でも何を思ったかは分からないけど、そのハッパの頭を取って、ロウさんの足元に転がしてやった。
『何をしているんだ、おかしいのかお前』
「ユカ？ 何、を」
ロウさんやエイトだけでなく、ハッパもとても驚いた表情をしていた。
まさか自分がこんな扱いをされるとは思っていなかったのだろう。
(ひ、ど、い、ひ、と)
しかし、うまくいったようで両腕はロウさんの首から手を離し、床のハッパの頭を何とかして拾おうとし始めた。
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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです！どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます！ (2022年8月21日 7時) (
レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ！！！応援してます！ (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年6月9日 16時
