お話ししよう 3 ページ40
「本当に分からないことだらけなんだ。皆、現実的に考えたらあり得ないような病気にかかっている。首が取れてしまったり、髪の毛が化け物に変わったり、死ぬことができなかったり。これは本当に現実なのかな? ユカ、君はどう思う?」
「私にも、よく、分からないです」
「はは、だろうね。お医者先生も分かってないことを君が知っているはずがない。でも思うんだ、これは病気じゃないんじゃないかって」
「どういう、ことですか?」
「人類の進化とかそんな感じのものじゃないかなって、思うのさ。何でも食べて栄養にすることができたり、別の人間に変身できたり、これってすごいことじゃないか。これは病気じゃない、そんな気がして……」
スリープさんが急に喋るのを止めて辺りをキョロキョロと見回した。
「どうか、しました?」
私がそう言うと、見回すのを止めてこちらに向き直り困ったような顔をした。
「今誰かが…………。いや、何でもない。ちょっと物音がしただけさ、話に戻ろう。……あぁ、何を言おうとしたか忘れてしまった」
はは、と軽く笑い、少し黙った後スリープさんはまた喋り始めた。
「まぁ、ということでユカ、そろそろ君について教えてくれないか? 君はどうしてここに? 君は何が普通と違ったんだ?」
「あ、えっと……」
分からない。
私は普通のはずだ。どこも悪い所なんてない、至って健康体のはずだ。
ジャックみたいに何でも食べれるわけでも、イートみたいに髪の毛が何か別も生き物になってしまう訳でもない。
でも、気づいていないだけで私も……。
そうだ、何もなければここに連れてこられるわけない。
「どうしたんだい? もしかして言えないことがあるとか?」
「その……、分からなくて。自分がどうして、ここに、連れてこられたのか、分からないんです」
「そうか、自分でもよく分からないのか。そうだな……、外見にはこれといって何かある訳じゃない。何かがあったのを見たり聞いたりした訳じゃない……」
私のことをじろじろと見ながらスリープさんが言う。私に言っているというような感じじゃなくて、ほとんど独り言のような感じだった。
「自分が気がついていないだけで何か周りに影響を与えてしまうものなのか? いや、それとも異常なことを正常だと思わせるとか? 他に考えられるのは……」
「スリープ」
出入り口の方から先生の声がした。
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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです!どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます! (2022年8月21日 7時) (レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ!!!応援してます! (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年6月9日 16時