氷の少女 ２ ページ31
「それで、あなたはだぁれ？」
「わ、私は……」
「いわないで、あててあげる。ユカちゃん、でしょ？」
「どうして……？」
「んふふ、ユキはねぇ、なんでもしってるんだよ？ すごいでしょ？ あ、でもたまにしらないこともあるけどね」
そうやって喋っている間にも、氷はどんどん広がっていく。
何で名前を知っているかなんて、どうでもよかった。今は先生を探して、あの人をどうにかしなくちゃいけないのに……。
「ねぇ、あのおにいちゃん、ここにいるんでしょ？ ユキにかえして」
「……お兄ちゃん？」
「そう、おにいちゃん。やっとみつけたの。たくさんさがしてここにいるってわかったの。さがしてたらふゆが５かいもすぎちゃった」
そう言ってユキはこちらに両手を差し出した。
「ユキにかえして、あれはユキのなの。だいじにとっておいたのに、しらないおじさんたちにぬすまれちゃったの」
一気に廊下の空気が冷たくなった。
「ユキがさいしょにみつけたのに。ユキのたからものだったのに……。ひどいおじさんたち。わたしのたからものもっていっちゃうなんて！」
寒い。
息が白くなっている。
薄着だから余計に寒い。
足元が凍りついてしまって動けない。
「あのおじさんはおしえてくれなかったけれど、ユカちゃんはしってるでしょう？ あれがどこにあるのか」
「私は……、その……」
この子が探しているのお兄ちゃんが誰なのか分からないからどうしようもない。
この状況はとてもまずい。
どんどん気温が下がっている。氷がさっきよりも広がって廊下のほとんどが凍りついてしまった。
「ねぇ、はやく。…………それとも、ユカちゃんをたからものにしようかな？」
一歩、ユキがこちらに近づいた。
足元の氷が広がって、膝まで凍りついてしまった。
冷たくて、じわじわと感覚がなくなっていく。
「あ……」
「ユカちゃんのこともきにいっちゃったの。だからユキのたからものにしたいなぁ……」
また一歩ユキが踏み出す。
腰の辺りまで凍りつく。氷は固くて分厚いから抵抗のしようがない。
「あ、でもいちばんのたからものはあのおにいちゃんなの。とってもとってもだいじなたからもの。だいじなひと」
「やめて……」
「ちゃんとだいじにしてあげるからね」
もう一歩ユキが近づこうとした瞬間、後ろの方からガタガタという大きな音が響いた。
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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです！どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます！ (2022年8月21日 7時) (
レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ！！！応援してます！ (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年6月9日 16時
