ぷるぷるした人 3 ページ3
「スラムはユカより若いが、女の子が好きらしくてね。確かイートやアリスにもこんな調子だった」
ロウさんがなんとも言えない微妙な顔をし、自分のベッドに腰かけた。
「スラム、しばらくその姿で休むといい。何かあったときすぐ人の姿になれるように」
床に広がったスラムが分かった、というように大きくぷるんと揺れた。
「ユカもここにいるといい。ハッパの他にも危ない奴はいるから。そっちの空いたベッドの方に座っているといい」
「……はい。ありがとう、ございます」
言われた通りに、ロウさんが座っていない方、空いたベッドの方に腰かけると、スラムがずるずると動いて私の足元までやって来た。
「スラム。君はこっちに来るんだ」
そうロウさんが言うが、スラムは動く気配がない。
「来てください。お願いがあるんだ」
お願い、と聞いてスラムは少しロウさんの方に動いたが、それでも私の近くだということに変わりはない。
「……じゃあ、ユカ」
「……はい?」
「こっちに来て、私の……」
すると、上の階の方から大きな音が響いてきた。カタカタとベッドの横にある小さなテーブルが揺れる。
確実には分からないけど、恐らくハッパだ。
逃げた私達を探している。でも見つからないから手当たり次第に爆破しているといったところだろうか。
「ユカ達を探しているようだね。やはりハッパが落ち着くまで、ここがいつまで安全かは分からないが居た方がいいだろうね」
「はあ……」
怖い。いつか大きな台風が来たときと似ている。
不気味な風の音が止まないし、大粒の雨がばたばたと屋根に当たる音がして、電線が切れてしまって停電して、真っ暗な家の中でずっと一人で怖かった。
その時に似ている。今回は台風も来ていないし、一人じゃないし明るい病室にいたけど。
何とも言えない不安感が似ている気がした。
目の届かないところで怖いものが、何かしている。
あぁ、怖い。
また大きな音がした。さっきより少し離れたところからだ。
「ユカ」
名前を呼ばれ声のした足元を見ると、スラムの生首が私に話しかけていた。
「ひっ」
一瞬、驚きで固まってしまったがよく見ると体の部分だけ人の形にはせず、頭と喋るのに必要な部分だけ人の形にしたようだった。
その姿はこういうお化けみたいで不気味だった。
「大丈夫かい? 顔色が悪いし震えているね。お医者様を呼んでこようか?」
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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです!どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます! (2022年8月21日 7時) (レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ!!!応援してます! (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年6月9日 16時