わたしはだぁれ？ ５ ページ18
「僕は君だったのかも、私はずっと前からあなただったかもしれないの！」
目の前まで来た歪なジャックに両肩を掴まれる。力が強くて、痛い。
「……っ、やめて、離して」
「お前がいいんだ」
段々ジャックが崩れて、人かどうかも分からなくなっていく。それでも、両手は私を離さない。
「ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ」
「ひっ……」
どんどん崩れてそれは何かよく分からないことになってしまった。
何となく人の形をしてはいるけど、実体があるようで、実体がないようにも見える。影みたいな、錯覚とか、幻覚みたいな不思議な感じの何か。
「ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ。私は、私は」
誰のかも分からない声。
ぐらっと揺れて、形が変わった。一瞬だけちゃんとした人の姿になったけど、すぐによく分からないものに戻ってしまった。
一瞬だけ見えたのは、今にも泣きそうな顔をした私と同じくらいの女の子。
「ねぇ、私はだぁれ？」
少しだけ肩を掴んでいる手から力が抜けた。
「ユカ、こっちおいで」
それを見計らったみたいにジャックが私を何かから引き離して、２,３歩下がった。
「私はだぁれ？ 私は誰だったの？ 私は？」
また、ぐらぐらと何かは形を変えた。
それは見慣れた姿。
毎朝鏡で見ていた顔。
「私はユカ。よろしくね！」
私の声でそれが喋る。
「これが本当の私だったの！ これが正しいあるべき姿。私はあなただったのよ！」
「あ……」
「わぁ、すごい。ユカが２人になっちゃったね！」
嬉しそうにジャックが言う。
「そうよジャック。私は２人いるものなの！」
もう一人の私も嬉しそうに言う。
「でも、２人いたら分からないかしら？」
「ボクはよく分かんないや。匂いとかも一緒だし」
「じゃあ、ユカは１人でいいかな？」
「あ、あの……、それって、どう、いう…………」
嫌な予感。
「私があなたになるからね」
もう一人の私がこっちに向かってにっこりと笑いかける。
「大丈夫。私はあなただったんだから」
「それじゃあ、どっちかは食べてもいいのかなぁ……」
ジャックがおなかをさすりながらこっちを見た。
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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです！どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます！ (2022年8月21日 7時) (
レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ！！！応援してます！ (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年6月9日 16時
