どこまで夢か ページ48
ふと、泣き声が聞こえた。
近いようで遠いとこから泣き声が聞こえてくる。
立ち上がって泣き声がどこから聞こえてくるのか探して、足元を見ると赤ん坊が落ちていた。
「わぁ、可愛いなぁ」
何で泣いていたかも忘れて、赤ん坊を抱いて走る。
早く逃げないと、これを自分の物に出来ない。そんな気がしたから走って逃げた。
「返して！ 私の赤ちゃん！」
「おい、待て！ 止まれ！」
女の人と男の人の声が追いかけてくる。
これは自分のものだ。どうしてか、欲しくて欲しくてしょうがない、だから自分の物にしたかった。
でも、ずっと真っ暗で走ってもどこにも辿り着けなかった。
そうやって走っている内に疲れてきて、追いかける声がどんどん近づいてくる。
男の人と女の人がすぐ後ろまで来ている。
駄目だ。捕まる。思わず目を閉じて屈み込んだ。
しかし、一向に捕まえようとしてこない。そのときふと、腕が軽くなった。
おかしい、そう思って目を開けると、そこは白い部屋だった。どうやら自分はベッドに寝かされているようだ。
消毒液の臭いが気持ち悪い。蛍光灯の光がチカチカして痛い。
すると、天井や壁がベリベリ剥がれて虫が湧いて出てきた。虫はあっという間に部屋を埋め尽くしていく。
怖い。
「嫌だ、嫌だ」
虫が長い足を動かしてこっちに向かってくる。
逃げなければ。さっきよりも重い体を動かして、ベッドから出る。
あそこに出口があるから、そこから逃げよう。
逃げようとしたが、何かに引っ掛かって動きづらい。
一番動かしづらい左腕を見ると、細長いチューブみたいな虫が皮膚を食い破って血管に入ってこようとしていた。
「あ、駄目だ。入ってくるな！」
虫を無理矢理引き抜く。
引き抜かれた虫は、ぎいぎいと気味の悪い鳴き声をあげて、透明な液体を撒き散らした。
虫が刺さっていたところから血が出てくるがそんなことを気にしている場合じゃない。
この気持ち悪い虫から早く逃げなくては。
床を這っている虫を踏み潰しながら、出口に向かう。
出口までもうすぐというところで、急にお腹が痛くてたまらなくなった。
「うう……、やだ、痛い、怖い」
お腹を見ると、白くて平べったい虫がぐるぐると巻き付いてお腹を締め付けていた。
４つの目でじっとこちらを見ながら、お腹に噛みついて、食べようとしている。
食べられる前にこの虫も体から離さなくちゃ。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
