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いたいとてもいたい ページ44

「そう、赤だ。綺麗だよねぇ、僕はこの瞬間が一番興奮するよ」

 女はしばらくびくびくと痙攣していたが、動かなくなってしまった。

 怖い。絶対に赤がないはずの場所にこんなに赤が溢れている。それが気持ち悪くて、不気味で違和感があって、とても怖い。

「お前さぁ、全然面白くないよ。一人でもいいじゃん、殺せるなら。まあ、面白くても殺してたけどさ、お前最高につまんなかったからぐちゃぐちゃにして殺してやるよ」

 若い男はさっきまでとは違うナイフを取り出して構えた。

「お前のためにこれ使ってやるよ」

 痛いのは嫌だ。死にたくない。でも、死ぬなら苦しんで死にたいからちょうどいいかもしれない。いや駄目だ死ぬのは嫌だ。

「……どうしよう?」

「あしっど!」

 ムーンが叫んだが、少し遅かった。

 自分の腹の右側にナイフは刺さった。

「……あ」

 痛い、血が出てくる。

 若い男はそのままナイフを横に動かして、傷口を広げようとしてくるがナイフは異常なまでに切れ味が悪くて傷口がぐちゃぐちゃになっていく。

「痛い。やめろ」

「やめるわけないだろ? こんなに血が出てるのにさぁ」

 止めさせなければ死んでしまうのに、抵抗しようという気が起きない。ただ傷を抉られるのを見ているだけ。

 何でだ? こんなに痛くて、怖いのに。

「駄目だ、やめろ。痛い痛い、死にたくない」

「ヤメテクダサイ」

 若い男の腕を掴んで、ムーンが止めさせようとする。

「お前は後で殺すから、あっちに行ってろよ! っと」

 しかし、ムーンは思いっきり蹴り飛ばされてしまった。

「グ……」

「ん? 結構固いなお前、人間か? まぁ、いっか」

 そう言って若い男はまた傷口を抉り始めた。

「痛い?」

「あぁ、痛い。お前は酷い奴だな」

「褒め言葉かな? ほら、お前そろそろ死ぬんじゃない?」

 段々ぼんやりしてきた。本当に死ぬかもしれない。

「ははは、死にそうだ。死んだらどうなるのかな?」

 血がまだ出てくる。また服を汚してしまった。

 痛い。

 新しい服を買わないといけないな……。

「……あしっど、シッカリシテクダサイ」

「え? 何のことぉ? あはは、死にそうなんだ、後にしてくれ」

「だってさ、お嬢ちゃん。こいつ死ぬとこ見ててやれよ」

 ムーンはふらふらとしながら立ち上がったが、どこかおかしくなってしまったのかバランスがとれずまた倒れてしまった。

 可哀想に。

 もう立ってるのも辛くなってきた。

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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです!本当に大好きです!頑張って下さい! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇`)ノ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ!素敵です!これからの展開も、楽しみしています! (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年5月13日 20時

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