ヒトゴロシは語る

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結果は、まぁ、その、耐えたほうだと思うよ。

　ずっと目を瞑って、耳を塞ぎそうになるのを抑えて普通に見てるっぽい体勢で別のことを考え続けてやり過ごした。

　だから映画の内容はこれっぽっちも覚えてない。

　ほとんど見てないけどびっくり要素的な大きい音はどうにもならなくてさ、色々楽しいこと考えてても貫通してきたり、ちらっと大写しの化け物とか見えたりもして駄目だった。

　終わった後ちょっと足が震えてたよ。

　……でまぁ帰り道に、クラスのみんなが怖いって言ってたけど全く怖くないどころか面白かった、とかあの殺人描写は全くリアルじゃない、とか実際だったこうなるみたいな話を延々聞かされてさぁ。

　やっぱり変な話だったけど、映画の感想とか聞かれなくて良かったよ。

　それで歩道を歩いてたら急に突き飛ばされた。

　急だったからそのまま車道側に倒れてしまって、頭の上スレスレを車が走っていってさ危うく頭を轢き潰されて死ぬとこだった。

　何が起きたかよく分からなかったけどすぐ立ち上がってオリバーを見たらさ、あいつニヤニヤ気持ち悪い顔して笑ってんだよ。

　その瞬間、こいつにやられたんだって分かった。

　ごめんね、あんまり無防備だったからついやっちゃった。死にそうになってどんな気持ち？ とか抜かしてさ。

　……俺はさ、他人の命を害す側で居たいんだよ。間違っても他人に殺されるわけにはいかない。

　だから今度は俺が突き飛ばしてやったんだ。

　うつ伏せになってあいつ倒れて、そしたら丁度よそ見運転のでかいトラックが通ってさぁ、タイヤに踏み潰されて頭破裂しちゃったんだよ！

　丸っこい頭がさ、潰れて見る影もなくなって、脳みそ巻き散らかして、さっきまであんな気持ち悪い顔してたやつと同一人物とは思えないざまだった。

　初めて見たよ、人間の頭が潰れるとこ。思ってたより音が大きくてびっくりしちゃった。

　びっくりしたけどホラー映画よりずっとマシだ。

　へへ。

　何よりも良いものが見れて、しばらくは楽しく気持よく過ごせたよ。あんなに落ち込んでたのが嘘みたいに。

　変なやつだったけど誘ってくれたオリバーに感謝しなくちゃな。

　あ。

　……次で11人目か。

　あぁ、残念だけど終わりが近づいてきちまった。

　もっと刑事さんとお話したいんだけどなぁ。

　全部言い終わったらすぐ行っちゃうんだろ？

　関係ない話で引き延ばそうかなぁ？

　……駄目？

　あー、分かってるよ。話すよ。

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