出会い 3 ページ9
倒す？ いや、どんな能力をもっているかも分からないのに下手に攻撃は出来ない。それに大声を出されたら、すぐに気付かれる。
……ここは、そいつの言うとおりにした方がいい。
「分かったわ。何が、聞きたいの？」
「あ、答えてくれるんだ」
嬉しそうにそいつが言う。
「じゃあ、聞くね。あなたは、モノクロの何？」
「私……？」
思ってもいなかった質問。
「モノクロはあなたをなぜ追いかけるの？ どうして？」
「私だって、分からない、知らないわよ」
それまで会ったことも、見たこともない、存在自体知らなかったあいつはある日突然私の前に現れた。そして生まれたばかりの天使を人質にして、人質を助けるのと引き換えに私を悪魔にした。
今思い出したって、怒りが込み上げてくる。
私の全てをあいつはめちゃくちゃにした。めちゃくちゃにして、踏みにじって、とても嬉しそうにしていた。
今でも許せない。
私もあいつの全てをめちゃくちゃにして殺してやりたいくらいなのに、それだけの力を持っていないからこうやって逃げ回るだけの日々だった。
だから、理由を聞かれたって知るわけない。
「本当に？ 嘘はついてない？」
「えぇ、本当に知らないわ。あいつのことなんて何も知らない、知ってるとすればあいつはクズで最低でどうしようもない奴だってことくらいよ！」
「……へぇ、そう」
私の腕を掴む手に力が入る。
「何で、何で？ 何でモノクロはこの女を……」
グチグチと小さな声で最後の方はよく聞き取れなかったが、次の瞬間にはそいつはパッと私の腕を離した。
「行っていいよ。約束、したし」
本当に見逃してくれる？
まさか油断させて、何かするつもり？
「早く行ってよ、じゃないと本当におっきい声出すよ？」
……なにかしてくる様子はない。信じがたいけど本当に見逃してくれるようだし、あいつも近くにいない今が逃げるチャンス。
「……さよなら」
何となくそう呟いて、走り出す。
そいつは追ってくる様子もなく、ただ私のことを見ていた。
あっという間にそいつの姿は見えなくなって、気配も遠くへと消えていく。
早く、早く戻らなくちゃ。
風を切って夜の街を走っていく。
何故だろう。さっきよりも体が軽い。
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P様さん - ドーナツの所可愛すぎてめっちゃ好きです！更新楽しみにしてます……！ (2023年4月17日 22時) (
レス) @page30 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
降臨の颯 - 続編おめでとうございます。これからも応援しています。 (2022年2月25日 21時) (レス) @page4 id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2022年2月25日 1時
