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出会い 1 ページ7

工場から近い大きな倉庫が並んだ一角。その中の一つの倉庫、そこに私はいた。

 身を隠すために偶然鍵の開いていたそこに飛び込んだけれど、見つかってしまった。

 あの、あいつの嫌な気配がしてぞくりと悪寒が走る。

「久しぶりだな。ずいぶん顔色が悪いみたいだが、なぁ、今の気分はどうだい? 元天使様よぉ」

 聞きたくもない声と共に姿を表したのは、以前見たときと服装や頭が変わってはいたが間違いなく私を天使から悪魔へと堕としたあいつだった。

「……最悪よ」

「そうかい。そりゃあよかった」

 そう言ってあいつは何とも愉快そうに笑う。

「ははは、はは。本当に久しぶりだ、ずっと探していたんだ。鳥かごから逃げてこんなところにいたなんて」

「この悪魔め」

「お前ももうそうだろ。今度は逃がさない、絶対にだ」

 あいつの足元の影がグラリと揺れ、形を変えると平面から立体になり、それは無数の手へと変化した。

 手はこちらを捕まえようと、ゆっくり近付いてくる。

 まずい。

 だが、私にも考えがある。

 ここが倉庫でよかった。しかも、小麦粉がたくさんある倉庫で、あいつはここにあるものが何かを知らない。

 あいつに向かってすぐ近くの小麦粉が入った袋を投げつける。

 するとそれを防ごうと袋を影の腕で凪ぎ払い、その衝撃で厚めの紙でできた袋が破け、中身が飛散し空中に舞う。

「……っ、しまった」

 アイツが小麦粉を被るのと同時に、辺り一面は真っ白になってほんの少し先も見えなくなる。

 今の内に逃げなくては。

 自分の爪を固くナイフの様な形状にし、近くの小麦粉が入った袋を切り裂きながら倉庫の中を走る。

「待て! 逃げるな!」

 白の向こうからあいつの声が聞こえる。

 きっとすぐに追ってくるだろう、このまま走って逃げるのは難しい、どこかに隠れてやり過ごすことにしよう。

 いつもそうやってあいつから逃げてきた、今回もきっとうまくいく。

 しばらく走り、倉庫から少し離れた暗くて細い人気のない路地裏の大きな蓋付きのゴミ箱の中へと身を潜めた。

 中は酷い臭いだったが、回収されたばかりなのかそれほどゴミはなかった。

 あいつはまだ近くにいる。私を呼ぶ声が近付いてくる。

 息を潜め、気配を殺してあいつが過ぎ去るのを待った。

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P様さん - ドーナツの所可愛すぎてめっちゃ好きです!更新楽しみにしてます……! (2023年4月17日 22時) (レス) @page30 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
降臨の颯 - 続編おめでとうございます。これからも応援しています。 (2022年2月25日 21時) (レス) @page4 id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2022年2月25日 1時

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