烈火 10 ページ36
多分モノクロに押された。
そう思った次の瞬間にはもう俺の体はコンテナの上から飛び出してそのまま落下し始めていた。
割と高さがあって、下はコンクリート。それに体勢も良くない。これじゃあうまく着地できないだろう。
しかし、体勢をどうにかできるほどの距離はなく、すぐに地面との距離は近づき、体が叩きつけられ……なかった。
間抜けな格好で地面に転がっているのは間違いないが、一瞬だけ地面がクッションのように柔らかくなり落下によるダメージは一切ない。
すぐに立ち上がって、まだコンテナの上にいるモノクロの方を見る。
「早く行け、俺もちゃんとついて行くから」
モノクロはそう言うと、煙のように姿を消した。
「わかった」
小さな声で答えて、走り出す。
上着の効果か、いつもよりも早く走れている気がした。
上から見たときにあの黄緑のコンテナまでのルートはなんとなく把握している。
ここは左に、今度は真っ直ぐ、次は左。
さっき見たときはそんなに遠くなさそうだったのに、いざそこに向かうとなるとかなり距離があるし、黄緑のコンテナを目指して進んではいるがそれはこの位置からじゃ見えない。
コンテナの上を移動したほうが良かった気もするが、周りを見れば雑に積まれたコンテナは高低差が激しくかなり上り下りしなくちゃいけないようで、移動は時間がかかりそうだった。
だからこうして下の通路を行ったほうが早い……、ってことで俺を突き落としたんだろうか。
とにかく今は黄緑のコンテナを目指して走る。
次は……、どっちだ?
「右だ」
迷って足を止めそうになったとき、背後でモノクロの声がした。
言われら通りに右へ走り、途中ちらっと振り返ってみたがそこにはモノクロどころか人一人もいなかった。
でもまぁ、ちゃんと付いてきてくれているんだと思い、少し安心した。正直それだけで心強い。
しばらく走り、ようやく目的の場所に到着した。
黄緑の大きいコンテナ。近くで見るとかなり年数が経っているもののようで、所々が錆び、穴が空いており、置いてあるというより打ち捨てられているといった感じだった。
このあたりに置いてあるコンテナも同じような感じなので、使わなくなったコンテナを置いておく場所なのだろう。
耳をすませばわずかに金属がきしむような音が聞こえるし、穴からは明かりが漏れている。
間違いなくレフトはそこにいる。
さて、どうしようか?
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凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時