Dear my teacher【 sh × kt 】 (ページ19)

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シャーペンが動くたびに机に跳ね返る音が響き渡る。
言葉もなく、ただひたすらに文字を書いた。

「なあ、」
「……え？」
「髙橋と同じ大学行くの？」
「いや？なんで？」
「ふーん、別に。気になっただけ」

意味深すぎるその質問は果たして突っ込んでいいものなのか、はたまた聞かなかったフリをするべきなのか。間違いなく前者だけど、この空気はやめておいた方が良さそうだ。

「前より全然出来てんじゃん！」
「紫耀くんのおかげ」
「そりゃ良かった」

過去問や教科書以外の問題を解いて、文法も分かるようになると紫耀くんが褒めてくれるから更にやる気が出る。そして、前々から気になってた疑問をぶつける。

「紫耀くんは、なんで先生になったの？」
「んー、別に先生になりたかったわけじゃないよ」
「そうなの？」
「英語ってさ、素直に自分の気持ち言えるから楽しくて」
「え？」
「日本語よりも、遥かに」
「うん」

楽しそうに話す、こんな紫耀くん見たことなかった。
どんどん気になっていく紫躍くんの素顔。

「俺自身も憧れだったんだよ、先生って」
「なんで？」
「なんかかっけーじゃん？大人の人って」
「確かに」
「だから、そう思われるような大人になりたかった」

漠然とした理由だったけど、紫耀くんの全てが詰まってた。生徒たちと楽しそうにコミュニケーションを取って誰からも好かれるようなそんな人に既になれてるから。遠い存在なのだと釘を打たれたように私の心だけを掻き乱していく。

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