・(🩷) ページ20
ふ、と意識が戻るとガサガサ音が聞こえる。戸締りはした、はず。だけどぼんやりし過ぎて締めなかったかな、とかなんとか思うけれど頭は働かないし目も開かない。そうこうしている内に扉が開いて目に飛び込んできたのは、
『……はやちゃん?』
佐「わり、起こした?」
会いたくて会いたくてどうしようもなかったこの人。バツの悪そうな顔をしている彼の手にはゴミ袋が握られていて、私が荒らした部屋の片付けをしてくれていたのだと分かった。
『なんで、?』
佐「合鍵使って入ってゴミ集めてた」
『それは、ごめん…違う、そうじゃなくて…』
佐「Aが勇ちゃんに会いたいよーって呼んでる気したんだよね」
LINEしたんだけどな、と言われてスマホを急いで確認すると【今から会いに行ってい?】と数時間前に連絡が入っていた。その時間は大体意識がまだギリギリあったくらいの頃であのまま寝落ちしてしまったことを申し訳なく思う。
『ごめんね、寝てた』
佐「や、俺も急だったから良いんだけど。でもさ、A」
ソファーに座る私の前にそっと目線を合わせるように座り込んで頬を撫でられる。泣き腫らした顔も荒れている肌も見られたくないけれど、きっと隠せないから抵抗もしない。
佐「1人で泣くな」
『っ…』
そう言われて枯れたはずの涙がまた溢れ出してきた。何度も目尻に向かって親指で涙をはやちゃんが拭ってくれるのに一向に止まらない。グズグズ本格的に言い出した目尻にそっとキスを1つ落とされる。
佐「勇ちゃんに会いたいよーって呼んだ?」
『…呼んだっ、何回も呼んだっ…!』
佐「んじゃ次はそれちゃんと言ってな。電話でも何でもいいから」
そっと唇を重ねて安心をくれる勇ちゃん。存在を確かめたくて何度も繰り返すうちに涙は止まっていた。
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作者名:瑞貴 | 作成日時:2026年1月18日 9時


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