虎の娘《３》 (ページ9)

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誕生日ページ9

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今日は我らがリーダー宮近の誕生日。

閑也の時は隠しつつもさり気なく欲しいものを聞いたりサプライズをするということをほのめかしていたけど、今回は本当に宮近本人に対しては何もなし。

如恵留が企画してくれているカウントダウンすらいやいやという感じで、如恵留が声をかける度にみんなついさっきまで忘れていたかのような顔をする。

もちろん裏では手紙を書いたり相談してプレゼントを探したりサプライズの段取りも宮近の居ないグループで毎日話し合ってきた。

宮近「…今日、ってこのまま解散？」

A 「私はちょっと自主練しようかなって思ってるけど、まあ解散じゃない？」

宮近「そっか、」

分かりやすくテンションの下がる宮近を見て少し申し訳なくなるけど仕方ない。

サプライズってこういうものじゃん。

宮近「もし、海人が嫌じゃなかったらなんだけど今日Aと帰ってもいい？」

中村「全然いいよ。じゃあ俺帰るねおつかれ～」

さらっとそう言って本当に帰っていくうみを見てまた表情が堅くなったのが分かった。

これは今回サプライズをするのがうみの家だから。

本当に忘れて帰った訳では無いと思う…多分。

A 「あ、お茶無くなってたの忘れてた。ちょっと自販機行ってくるね、宮近先やってていいよ」

私以外全員が本当に楽屋を出て行ってしまってついに何も言わなくなった宮近が気の毒になってきて、これは段取りには無かったけど先に手紙を渡すことにする。

財布を出すフリをしながらさり気なく手紙を出して一旦楽屋から出てそしてすぐに戻る。

戻った頃にはもう切り替えたのか前のレッスンの復習をしている宮近が居た。

宮近「…あれ、売り切れてた？」

不意に何の飲み物も持っていない私と目が合って、宮近が練習を中断して話しかけてくる。

A 「宮近、誕生日おめでとう」

小さくそれだけ呟いて宮近に近付いて手紙を渡す。

宮近「…あ、ありがとう(笑)」

そこまで驚いてくれなかったけど、とりあえず一旦表情が緩んだ宮近を見て少しだけ安心した。