虎の娘《３》 (ページ1)

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おうちデートページ1

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今日はたまたまふたりのオフが合って初めてうみの家に遊びに来ている。

いわゆる「おうちデート」ってやつ？

お仕事では色んな人と共演してきたけど、宮近の指導もあったり単純にそんな時間が無いのもあったりして男の人の家でふたりきりになるのはこれが初めて。

なんとなく緊張していると、うみが気を遣ってなのか分からないけどゲーム機を準備し始めた。

中村「とりあえず座りなよ(笑)」

慣れた手つきでカセットを入れながらずっとドアの前で立っている私にそう話しかけてくる。

A 「あの、これってどこに座れば…」

一応今一番近いのはダイニングの椅子。

でもこれに座るのはテレビの逆を向くことになるからおかしい。

じゃあソファ？でもうみは地べただし…

と色々と考えているともう準備が終わったうみが笑いながらキッチンの方に行く。

中村「面接じゃないんだからどこでも良いよ(笑)A炭酸いけるよね？」

とりあえずその辺に適当に座ると2つのコップにコーラを入れたうみが歩いてきて私の前に置いてくれた。

A 「…あ、ごめん。ありがと…」

中村「友達の家とか遊びに行かないの？(笑)」

A 「行ったことはあるけど、男の子の家は閑也の誕生日に宮近の家に行ったのが最初で最後だった…」

中村「何それかわい」

さらっとそう言うと当たり前のようにゲーム機を持ってゲームを始めている。

うみはあっという間にゲームに夢中になってしまって私だけが緊張しているのがバカバカしくなってくる。

A 「…ねえ、うみ。今日ずっとゲームしてるの？」

一応ルールを教えて貰いながら一緒にしているから放ったらかしにされている訳では無い。

ゲームもちゃんと楽しい。

でもほとんど会話が無くてすぐにゲームの世界に入ってしまううみを隣で見ているのは少しだけ寂しかった。

思わず拗ねたようにそう言ってしまうとうみは申し訳なさそうに私の方を見た。

中村「…ごめん、楽しくなかった？」

明らかにテンションが下がってまっすぐ目を見てそう言われると逆に私が申し訳なくなってくる。

私は反射的に首を横に振ってしまった。