7話 ページ7
自分たちが乗る航空機がだんだんと地上から離れていく間、イルミは窓からずっと外を眺めていた。
そして、街並みが見えなくなった頃。隣に座るシルバが話し始めた。
｢イルミ、最近母さんの腹が膨らんできているのは知っているか｣
｢うん知ってる。赤ん坊ができたの？｣
イルミはキキョウの腹の膨らみの正体に、何となくだが想像はできていた。女の腹が膨らみ、それを大事そうにしていたら中に赤ん坊がいるのだと。
何で知ったのかは思い出せないが記憶の片隅にあった。
｢ああ、もうすぐお前に弟ができる｣
イルミは弟と聞いても喜びは感じなかった。まだ会ったことも見たことも無いため、実感が湧かなかった。
もうひとり兄弟が増えるとしか思わず、むしろ彼の中ではAだけで充分だった。
｢へえ、そうなんだ｣
そしてまた窓に顔を向けた。もう外を眺めても暗闇で、自分の不満げな顔が反射して映るだけだった。
イルミは今は自分が父親の前にいるのに、まだ産まれてもいない弟が話の中心になるのを羨んだ。
それでも、一つ疑問に思うことがあった。
｢どうして弟だって分かったの｣
｢知り合いの医者に診てもらった｣
｢腹を割いて？｣
頬杖をつきながらシルバはフッと吹き出すように笑った。そして、腹を割いたら母さんは死んでいるとだけ言った。
イルミは冗談を言ったつもりでは無かったため、笑う父親を見て不思議がった。出生前の性別の謎はわからずじまいに終わったが、また一つ頭に疑問が浮かんだ。
｢ねえ、父さん。
なんでオレとAは見た目が違うの？｣
｢本で見た双子は全く同じ見た目だった｣
これは素朴な疑問だった。加えて、色々なことに興味や関心が高まる時期だったこともあり矢継ぎ早に質問をした。それに、父親ならなんでも知っていると思っていた。
イルミが家族と聞いて1番初めに思い浮かぶのが父親だった。そして、兄弟と聞いて1番初めに思い浮かぶのがAだった。
父親を見ると時々Aの影がチラつくことがあった。血の繋がりがあれど、決して自分の手に入ることは無いものをAは持っていると感じていた。
シルバはすぐには答えなかった。この年齢のイルミにどうしたら分かりやすく伝えられるだろうと父親なりに考えていた。
そのうち必ず性について教えることになるだろう。先入観がなく教えられたことを素直に受け止め、吸収していく時期であるからこそ、間違った知識を教えたくはなかった。
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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています！これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます！おかか様！ (10月8日 9時) (
レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです！ (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです！続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです！頑張ります！更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかか | 作成日時：2022年1月23日 14時
