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26話 ページ26

舗装された石畳の上でパンプスが踊る。

Aは敷地外でひとりで行動するのは初めてだった。仕事は例外だったが出かける時は必ずと言っていいほど執事が着いてきた。
話をするわけでもなくただ自分の少し後ろに居るから、監視されているようで居心地が悪かった。
僅かばかりの自由を手にし、目的地に向かうまでそわそわしている様子であった。


そして、店舗のガラス張りから流行りのコーディネートにされたマネキンが見えた。黒でシックにまとめられたブティックの前に到着すると、そのドアを開けて中に入る。
店員はAがひとり入ってきて異様に思ったが、着用している服らを見てそれは無駄な心配におわった。


「いらっしゃいませ」


煌びやかな店内には服やバッグ、靴の他にもそのブランドがプロデュースしたコスメティックなども陳列している。

Aがここにいる間、祖父も一緒に廻るのは申し訳ない気がしたのでひとりで来たかった。また、女であれまだ子どもの自分が色気づいているのを知られるのも恥ずかしい気持ちがあった。

そして、Aが訪れた理由でもあるコスメのコーナーに向かうとリップが目に入った。目立つ場所にあったのもあるが限定色というのに惹かれた。
4色の内のひとつ、ルージュのダスティローズを手に取る。この大人っぽい落ち着いた色がAには魅力的に見えた。


「その色いいですよね。新色の中で1番好きです」


突として横から声をかけられた。
その声の主は金髪のツインテールの少女でAと同じくらいの歳に見えた。その艶やかな金髪がやけに光って眩しかった。
Aは初めて同年代かつ同性である少女に話しかけられ、一瞬時が止まったかのような感覚に陥った。


「私も気になってて。分かります」


ワンテンポ遅れて声が出た。事も無げな顔で応えたが内心はどきどきしていた。緊張と高揚が胸の中でぐちゃぐちゃに混ざって大きく跳ねていた。どうして見ず知らずの自分に話しかけたのかが分からなかった。

Aは彼女は多分友好的な人なのだろう。特別自分と仲良くしようとは思っていない、そういう性格の人間もいると自分の中で結論付けて浮き出た心臓を沈ませる。


改めて目の前の少女をよく見ると、着ている服や小物はこのブティックで売られている物だった。全身まで揃えるとは余程このブランドが好きなのだろう。
それでいて、埋もれずに負けることはなく少女は着こなしていた。

幼い顔立ちもあって精巧な人形の様である。

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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています!これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます!おかか様! (10月8日 9時) (レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです! (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです!続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです!頑張ります!更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おかか | 作成日時:2022年1月23日 14時

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