協専ハンターは大変です【H×H】 (ページ8)

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8話未知なる欲ページ8

｢え、試験官ですか｣
｢そうじゃよ｣

会長は｢ちなみに今回で287期になる｣と付け加える。淡々と事を進めようとする会長とは対照的に私はただ驚いている。ハンターになって片手で数えられるくらいの年の私に、合否を決める権限などあっていいのか。

｢私そんな大役任されるような人間じゃないと思いますよ｣

ハンターとしての資質が劣る理由に加えて、単純に人間性が終わっているのも理由のひとつだ。今の私の行動源は金だ。金さえ貰えればどんな汚い仕事もやっていける。

報酬がない試験官は論外だった。無償で働くのは中々私のモチベーションが上がらない。善人の心を持っている人しか任命されないと思っていた。

｢そんなことは心配せんでもよい。なぁに、試験官といっても補佐のポジションじゃ｣

会長は私のそんな考えを見透かすように言った。それよりも気になったのは試験官補佐と言う言葉だ。今初めて聞いた。補佐とか副は色々面倒なことを任されるイメージがある。ていうことは雑用かあ。

｢補佐？今年から導入されるんですか？｣
｢お主の年もいたんじゃがの｣

聞き覚えのない言葉を質問してみるものの、口をへの字に曲げて呆れたような表情をされた。
私は数年前の記憶をグルグル探ってみるが、全く覚えていない。そもそも、試験内容もうろ覚えの脳みそに期待はしていない。

｢記憶にないですね｣
｢まあとにかくやってみることよ｣
｢、、、｣
｢決まりじゃな｣

私が浮かない表情をしているにも関わらず、会長は無言を肯定と受け取ったらしい。ビーンズさんの言う通り拒否権が無いのは本当だった。私は287期ハンター試験の試験官補佐というものを任されることになった。

やりますとも言っていないのに、乗り気じゃないのを分かっているくせに。目の前にいる会長がニヤニヤしているところを見ると、私が困っているのを楽しんでいるようだ。

｢会長。私不安しかないです｣
｢Aよ、お主は若いが腕は確かじゃ。もっと自信を持っても良かろう。しかしのぉ、欲が足りん｣

｢ハンターたるもの何かを狩らなければならない｣

｢ワシからは以上｣ということでビーンズさんと会長室をあとにする。一瞬キラリと光ったその瞳の奥に、私の知らない何かがあるような気がした。食欲とか物欲なら人並みにあると思う。ハンターたるものか。

もやもやとしたものを残しながら廊下に出る。すると、ビーンズさんが補佐の説明をしてくれるということで今度は秘書室へと向かった。