協専ハンターは大変です【H×H】 (ページ1)

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1話協専に甘えたツケページ1

窓ひとつ無い暗闇の中でひとり。

私は携帯電話の白いライトに照らされて任務完了のメールを送る。眩しいくらいの画面に送信中と表示され、一瞬で直ぐに送信済みとなった。

最近買い換えたこの携帯電話の感触にまだ手が慣れておらず少し違和感がある。
これは某有名企業の最新機種で処理能力が高い。そのため通信速度が段違いに速い優れものである。

そんな私は協専ハンターを職業にしている。
協専ハンターとは、ハンター協会が政府や企業から依頼された仕事を専門に請け負っている感じだ。

政府から依頼されるのものは、難易度が高いものが多いが報酬はそこそこいい。しかし、他には言えない裏の仕事がほとんどで、表立って称えられることはない。

企業からは物によって難易度や報酬はまちまちだ。入手困難の食べ物や資源をハンターに依頼するのが大半を占める。珍しいものでは、イメージアップのモデルに引き抜かれた人もいる。

私は協専ハンターになりたくて試験を受けたわけではない。当時の私はやりたいことがなくて、学もなかった。
取り柄は体が丈夫なことぐらいだろう。

そんな中、ハンターという職業を知り、その自由さに憧れた。そして私は行動だけは早いので、すぐにその年の試験に応募した。とんとん拍子に事は進み、受けたら運良く合格したというところだ。

まあ、特に目標がないため、引き受けるのはなるべく楽なもの。それに欲を言えば、良い報酬を得られる仕事だけにしている。

そんな事だから、自分から何かを始めることも、やりたいことも無いまま協専という位置に甘んじて今日に至るわけだ。最近は開き直って｢いっそのこと迷惑な客並に長居してやる！｣と意気込んでいた。

だが、今回の任務で自分の身体が鈍っていることに気付かされた。

当初の予定では半日で終わる内容だった。それなのに終わってみれば、丸一日かかってしまったではないか。これでは長居も出来ずに死んでしまう。今後のことを考えると悲しくなって泣きそうになる。

ハイスペックの新しい相棒に比べ、外へ通じる道を歩いている私の足取りは重い。気分は優れていない。｢はあ｣というため息をついてしまう。息を吸うと肺が換気の悪い生暖かい空気を入れた。

いつもは仕事が終わった解放感とともにテンションが上がる。そして、好きなブランドのブティックや美味しいレストランにでも行って散財するのに。ああ。どうして。
こんな気持ちになりたくて仕事をしているわけじゃない。