検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:884 hit

これこそパーカッション ページ3

妙に空気が緩い人たちを目の前に、私は唖然とする。

(え、何……強豪じゃなかったの?この人たち……打楽器の人達だけゆるゆるじゃない?)

助けを求めるように副部長の方をちらりと除けば、副部長は可愛い顔をしかめて、大きなため息をついていた。

「もーっ、サボるなって言ったでしょ!ゆみは先輩とさなちゃんはまだしも他は何してたの!遊んでたの?!」

「いや違うっ、違うよふくぶ……別にプラモ作ってたわけじゃないし!俺練習してたし。」

「私はTwitter見てた」

「プリクラ眺めてた♡」

「本読んでた」

「お前ら〜!うさだくんはまずちゃんと敬語使いなさいっ!!あと、るなはスマホを持ってくるんじゃない!!」

ぷりぷりと怒る副部長を横目に、私は打楽器の部屋もとい第2音楽室を見回す。

普段は授業に使われているからか机と椅子が沢山あり、それらは教室の隅の方に追いやられて広くスペースが出来ていた。

練習のために楽器を出したは言いものの、そのまま放置してあるように見える。

ゆみはと呼ばれた先輩と、さなと呼ばれた1年生は楽器のそばに居て、真面目に練習していたらしいが……

(ああそっか……このパート、そんな感じなんだ。遊んじゃう感じの。)

へらへらと笑いながら、サボっていた内の1人の女の子がこっちを見た。

「体験でしょ?たいけん!案内しなきゃ。ねーほら鈴木!ひらめ!しょた〜ん!!」

楽しそうに手を叩く。何だかちっちゃい子みたいな子だ。実際に、横にいる副部長並に背は小さい。

「ショタンって呼ぶのやめろって言ったじゃん。」

「怒るなよショタン」

「そうだよ」

変な呼ばれ方をした眼鏡の男の子が、イライラした顔で本から顔を上げる。

そんな男の子に茶々を入れる天然パーマの男の子。便乗して女の子の方もさらににこにこ笑った。

「え、ほんとに体験?パーカスに?」

「本当ですよゆみは先輩。じゃあAちゃんのこと、よろしくお願いします〜!30分したら迎えに来ます!」

え゛、と野太い声が出てしまう。30分もこの空間に?!

不安しか無かった。ノリがおかしかったりサボっていたり、よく分からない人達の中に置いていかれるのは精神的にキツい……

1人にされたくなくて、泣きそうな顔で副部長を見てみる。

副部長は、強く生きろよ〜、とだけ言って、出ていってしまった。そんな……。

わちゃわちゃと騒ぎ出したパーカッションパートに、私は放り込まれてしまった。

名前なんて→←ハロー、吹奏楽部



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.4/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
設定タグ:吹奏楽部 , オリジナル
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: x他1人 | 作成日時:2021年2月8日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。