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危なっかしいからなぁとケラケラ笑う涼太に胸が苦しくなった。
それは本当に突然だった。
ドクン、ドクン、と嫌な音を立てて心臓が鳴っている。
何、これ、嫌だ、違う、何、なんで、
酔っていた頭が急に冴えてしまった。
そっと涼太から離れて丁度来たタクシーに乗り込めば手を振ってくれる涼太。
私もそれに手を振り返してみる。
進んだタクシーをずっと手を振りながら見送ってくれる涼太の笑顔を見て、嫌だと思った。
何これって言ったけれど、私、これ知ってる。この前もあった。
この心臓の音の意味を、私は知っている。
何年か前にこの感情は今後一切持たないようにしようと決めた感情だ。
何で、だろう。
私はまた、同じことを繰り返さなければいけないの?
そう思ったら視界がユラユラと霞み始めてきた。
ドクン、ドクン、と変わらず嫌な音を立てて心臓が暴れている。
ダメだってば!!!!そう、自分に言い聞かせてぎゅっと目を閉じた。
そう言えば、こんな感情になったのは、この前にもあったと気付いたけれど、いつだったっけ。
頭の中で今までの事を巻き戻してみたらある瞬間でピタリと止まった。
そう、それは───
目が覚めた時、涼太がいて、手を握ってくれていて、泣きながら起きたことを喜んでくれた。
そんな姿を見て、私って凄い幸せものだなって思った。
それに、そんな涼太を独り占めしてるみたいな状況に幸せを感じた。
───『りょ、た』
誰かを呼ぼうと部屋から出ていこうとする涼太を掠れる声で呼べばん?と泣きながらこっちに来てくれる涼太。
───『りょ……た、』
もう1度呼べば、また綺麗な涙を流して私の手を強く強く握る。
───片寄「おかえり、っ、おはよう、A、おかえり、待ってたよ。……A」
はにかむような笑顔をして私の目線に合わせてしゃがんでくれた涼太にありがとうと伝えた。
───『あり、が、と』
───片寄「うん、戻ってきてくれて、帰ってきてくれて、ありがとう、ありが、と」
そんなに泣いたら、鼻声になっちゃうのになぁ、と思いながら手に涼太の温もりを感じたあの日。
きっと私は涼太に恋をした。
この時の心臓の音を、私は聞かないようにしていたんだ。
それに今は、気付いてしまったことにショックで、どうしていいか分からなかった。
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しろ(プロフ) - 楽しく読ませてもらいました!すごくドキドキして面白かったです!ただ、RUDOじゃないです!RUDEBOYSですよー!それがすごく気になったので!これからも頑張ってくださいね!更新楽しみにしてます! (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8a5ce53359 (このIDを非表示/違反報告)
さあや(プロフ) - ?? ラベンさん» パスワード教えていただきありがとうございます! (2018年3月2日 1時) (レス) id: 19f11c6c82 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 涼太君大好きなのでカップルになってほしいですこの小説最高です (2018年3月1日 18時) (レス) id: 39e38305d9 (このIDを非表示/違反報告)
さあや(プロフ) - 新しい作品のパスワード教えて欲しいです!! (2018年3月1日 16時) (レス) id: 19f11c6c82 (このIDを非表示/違反報告)
?? ラベン(プロフ) - れもんずさん» きゃーーーありがとうございます!!!嬉しいです(笑)涼太くんとくっつくのはかーなーりー先になるかもしれません、待っててください!(笑) (2018年2月28日 21時) (レス) id: 55b5b8a912 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2018年2月19日 22時