きっかけ ページ4
.
.
そもそも何故俺がこんなにもA先輩の虜になってしまったかと言うと、月日は遡り、彼此半年ほど前になるだろうか…
____俺が一年の時の秋頃だった。
もともと読書が趣味だった俺は、週に何度か大学の敷地内の図書館に通っていた。うちの大学の図書館は有名で、かなり大きく、種類も豊富で、俺の落ち着く場所だった。
いつものように気になる本を2、3冊借りる。丁度時間もあるし、そのまま図書館の奥の奥の方の人気のない窓際の席に座った。
少し肌寒さを感じつつ心地よい風が吹く中、集中して小説を読んでいた。
すると、何故か向かい側から透き通った声が聞こえた。
『随分、渋いの読んでるね。』
驚いて前を見た俺は、一瞬、息を飲んだ。
大きな瞳に影になるほど贅沢な睫毛、スっと通った鼻筋、形の良いほんのり色付いた唇…大袈裟かもしれないが、この世でこんなに美しい人を見たのは初めてだった。
何故俺の向かいに座っているのか、いつから座っていたのか、軽くパニックで固まっていると、その人が口を開いた。
『…ごめんね、それ、課題のレポートで必要なんだ。読み終わったら貸りてもいい？』
困った様に微笑むその人に、また見惚れてしまう。
「え、あ、全然！僕、ただ私的に読んでただけなんで…！」
そう言って勢いよく本を閉じてすぐさまその人に差し出す。
『あ、急かしちゃったかな…全然提出期限まで時間あるから気にしないでいいよ。』
「いや、ほんまに！！また借りればええだけですから！」
俺の勢いに押されたのかその人に差し出した本は受け取って貰えた。
『ありがとう、優しいね。』
花が綻んだ様に笑ったその人に、俺は魅了されてしまったのだった。
後にその人が有名なA先輩だと知るのだが、その頃には既に、A先輩の事が頭から離れない様になっていた。
こうしてまた、憐れな男の1人が出来上がったわけである。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 545人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「なにわ男子」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シキ(プロフ) - memeさん» コメントありがとうございます。有難いです、これからも内容に悩みつつですが更新していきますので、これからもこちらの作品を宜しくお願い致します。 (2023年4月8日 3時) (
レス) id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
meme - 投稿楽しみに待っておりました！楽しく拝見させて頂いております。これからも更新頑張ってください！ (2023年4月7日 22時) (レス) id: 256fd9f9cd (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - ともさん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉が頂けて幸せです、マイペース更新で申し訳ないです、これかれも楽しんで頂けたら幸いです。 (2022年10月18日 0時) (レス) id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 楽しく読ませて貰ってます！更新頑張って下さい😊 (2022年10月13日 21時) (レス) @page25 id: 9dbca4abe1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シキ | 作成日時：2022年5月29日 5時
