カレイドスコープ (ページ5)

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確かに、言われてみると画面の中の人と目の前の彼は瓜二つ、だ。

「さっき追いかけて来たのは俺らのファンみたいなもん。最近ストーカーとまではいかねぇけど、結構しつこく付きまとわれることが多くて。巻き込んじまって悪い」

そう言うと彼はぺこん、と少しだけ頭を下げた。
さっきの傲慢な態度はどこへやら…

『あ、いえ…取り敢えず、女の子達巻けたようで良かったです』

私も思わずぺこりと頭を下げてしまった。

『先程彼女、なんて嘘言っちゃってましたけど、大丈夫でしょうか？変な噂流されちゃったりとか…』
「ねぇ、とは言いきれねぇけどまぁ別に平気だろ。あんたにはもう迷惑掛けないようにするから」
『はぁ、』

まぁ、こんだけ顔が良くて人気者なら噂の一つや二つ持ってるか、なんて自己完結してしまった。

その時だった。

ブーブーとけたたましく鳴り響いたスマートフォン。
私の手の中で震えているけど、私のでは無い。
彼のものだ。

『あ、電話…』

そう言って隣の彼に手渡すと画面を見た彼はその表示された名前に面倒くさそうに舌打ちをすると通話ボタンを押した。

「お疲れ虫さん。電話なんてどうしたの」

そんな彼の気だるそうな声をかき消す様に電話の向こうの人は大声を上げていた。

「あぁ！？カノジョ？いねーよ！！虫さんがよく知ってんだろ！！」
「……Twitterで？写真？……俺と、女の…」

彼がそこまで口を開いて、私と彼ははっと顔を見合わせた。
私は慌てて自分のTwitterを開くと、「東海オンエアとしみつ」と彼の名前を入力して検索した。

出るわ出るわ。
多分ファンと思われる子のツイート。
「としみつ彼女いたの？」
「いないと思ってたのに」
「カノバレとかないわ…」

そして1番大元であろうツイートを隣の彼にも見せる。
そこには、

「あー、思いっきり撮られてるわ。写真」

彼はフッと軽く鼻で笑ったが、笑うしかないのだろう。
と言うか、目は笑ってない。
(つまりめちゃくちゃ怖い)

写真はいつ撮ったんだというものばかり。
女の子達に囲まれてる時に抱き寄せられた時のものと、お互い手を握って走ってるもの、そして、車に乗り込む所まで。
最近の女の子はこんなパパラッチ紛いのことまでするのか、と思わず大きなため息が出た。

「……教えてくれてありがとな虫さん。詳しい事は、今度話す」

そう言って彼は電話を切った。