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頭痛が治まり、ゆっくりと顔を上げた。
幸い、立ち止まっていた場所が、バイキング制に並んだ食事達の前だったから、きっと何を食べようか悩んでいると思われてのだろう。
それに、そこまで長い間頭痛が続いていたわけではないらしく、まだほとんどの人が談笑していて、お皿すら手にとってない人もいた。
『…お酒、弱いのか…』
酔わせてしまえば、全て話してくれるんじゃないだろうか。
…それにしても、前世は随分順調な恋人関係を築いていたみたいで。
尚更、前世の私と彼の間に何があったのか、気になる。
わざわざ悪役令嬢にしたのには、相応の恨みがあったのだろうから。
『…取り敢えず、お腹空いた』
それにしても、記憶を思い出したくないと思ったのは、どうしてだろうか。
特に嫌な記憶だったわけでもなく、楽しそうな雰囲気の飲み会の記憶だった。
四年も…高校生の頃から付き合ってたのなら、多少の不満は流せるだろうに。
浮気でもしたのか、私は。
「A様？」
『っ…どうしたの？』
「ずっとそこでお立ちになっているので、何かあったのかと…」
『ああ、何を頂こうか迷ってしまって、心配をかけてしまったのね、ごめんなさい』
本能的に、記憶を思い出すことを、私は抵抗しているのか。
…本当に、私はどんな人生を送っていたのか。
予想が全て正しいなら、幹部様にヒロイン、こんなにいい人達に囲まれて過ごしてきたことになる。
不満も何も、感じることなどなかったはずなのに。
『…ごめんなさい、やっぱり体調が優れないから部屋に戻るわ』
「お付き添いしましょうか」
『いいの、貴女は皆さんと朝食を』
「いえ、その…少し、お話ししたいことがあって…」
『…そういうことなら、お言葉に甘えようかしら』
「っありがとうございます、メイドに朝食を持って来るように言って来ますので、少しお待ちを」
とてつもない不安が、身体の中を渦巻いて、気持ち悪い、ぐるぐるする。
一つため息をこぼして、感じる視線を追えば、殺気溢れる千里さんの睨む目と目があった。
違う、これじゃない、あの瞳に怯えることなどない。
じゃあ、私は何に、こんなにも…。
『…？っ、ひ…！』
目を細めて、恐る恐る、もう一つの視線を追った。
そして、目が合ってしまった。
狂気を感じさせるほど、愛情と情欲を孕み薄らと細められた瞳が。
そんなグルッペン様の瞳が、心臓を鷲掴むように、こちらに向けられていた。
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五千時(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！凄く嬉しいです！励みになります〜！更新頑張ります！！ (2020年4月16日 19時) (
レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - このお話最高です！推理要素もあってとても楽しめます。今ある話まで一気読みしちゃいました笑更新頑張ってください！！ (2020年4月16日 18時) (レス) id: abc489c33a (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - Black Aliceさん» コメントありがとうございます！夢主以外の視点も書きます！近々その話が出ると思いますのでお待ち下さい！ (2020年4月13日 19時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
Black Alice(プロフ) - とても面白い小説に巡り会えたと心から思える程、面白かったです!1つ質問なのですが、夢主以外の視点は書いたりしますか？ (2020年4月13日 18時) (レス) id: 10501c80b3 (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！いやぁぴくとさん黒幕で使うの夢だった…！更新頑張ります！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年3月30日 22時
