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姉は、貴族としての気品を誰よりも大事にしており、自分に厳しく、他人を見る目は一番鋭かった。
それ故に、気品溢れ、母に似たその美貌に伴うように、性格も仕草も、洗礼されていた。
前世の記憶はあれど、私は、幸せだった。
『…お姉様』
「どうしたの？」
『いえ、緊張してしまって…私、身嗜み、大丈夫でしょうか…』
「貴女は本当に…堂々と振る舞いなさい、貴女は私の自慢の妹であり、名家の娘であるのだから」
『っ、はい！』
貴族の娘、息子が集まり、婚約相手を決めるパーティーに、姉の付き添いとして参加した日。
こんなにも大勢の他国の貴族と関わるのは初めてで、元々庶民として生きてきた私にとって、どれだけ貴族の生活をしてきたとしても、庶民の感覚は抜けきらず、不安が募っていた。
しかし、姉の大事な婚約相手を見つける為、その不安を無理矢理押し切った。
「これはこれは、ラートリー家の御姉妹ではないですか」
「お久しぶりでございます、バロン様」
『…』
「お二人共、暫く見ないうちにお美しくなられて、とても魅力的だ」
「お褒めいただき光栄ですわ」
あくまで、このパーティーに参加したのは姉の為、お辞儀やら社交辞令はするが、話を盛り上げるのは私の役目ではない、そんなことをすれば、姉の邪魔をしているようなもの、はしたない行為である。
「…人が多すぎるわね、あまりこちらから話しかけるのもはしたないし…」
『ダンスまでまだ少し時間がありますから、先にお食事を取られてはどうですか？』
「そうね…行きましょうか」
貴族の子だけではない、各国の若いお偉い様もこのパーティーには参加している。
中には、有名な軍国の幹部だったり、総統だったりがいたりする。
しかし、軍国に嫁ぐのは、あまり良いとされていない。
私達の国のように、戦争とは無縁の国ならば尚更、夫婦仲の悪化や、情勢の乱れ、戦死、良い話など聞いたことがないのだ。
「すみません、そこのお嬢さん」
「…はい、如何かなさいましたか」
「いえ、とてもお綺麗な方だなと、少しご一緒させていただいても、よろしいですか」
「…ええ、勿論です」
『…』
深海のような深い青に、濁ったような黒が混ざった、そんな瞳の男性が姉に話しかけてきた。
姉は少し戸惑いながらも、二人にさせて欲しいと目でコンタクトを取ってきたので、私は一度お辞儀してから、その場を離れた。
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五千時(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！凄く嬉しいです！励みになります〜！更新頑張ります！！ (2020年4月16日 19時) (
レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - このお話最高です！推理要素もあってとても楽しめます。今ある話まで一気読みしちゃいました笑更新頑張ってください！！ (2020年4月16日 18時) (レス) id: abc489c33a (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - Black Aliceさん» コメントありがとうございます！夢主以外の視点も書きます！近々その話が出ると思いますのでお待ち下さい！ (2020年4月13日 19時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
Black Alice(プロフ) - とても面白い小説に巡り会えたと心から思える程、面白かったです!1つ質問なのですが、夢主以外の視点は書いたりしますか？ (2020年4月13日 18時) (レス) id: 10501c80b3 (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！いやぁぴくとさん黒幕で使うの夢だった…！更新頑張ります！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年3月30日 22時
