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ガタゴトと、不規則な揺れは、私の瞳を溺れさせるこの涙を、床に一つ、また一つと零していった。
前世、私が不幸な事故により死んだあの日、薄れ行く意識の中で、神を名乗る人に手を握られた。
「君の新しい人生だ、君は人に恨まれる悪役令嬢、さあ、今度は死なないように、楽しんでね」
皮肉しか感じないその言葉を最後に、途切れた意識。
次に目を覚ましたのは、見知らぬ女性の腕の中だった。
口から漏れるのは、乳児特有の母音だけ。
見上げた先には、愛おしそうにこちらを見つめる二人の男女、きっと、私の母親と父親であろう。
「おはよう、私の可愛い子」
「可愛らしい子だ、君に似て、整った顔立ちをしている」
「お母様、私にもAのお顔を見せて！」
視線がゆっくりと低くなり、新しく覗く、幼い美少女。
目が合うと、嬉しそうに笑って、私の頬や、指、髪を触ったりとしていた。
この子は、私の姉にあたるのだろうか。
名前はアリスと呼ばれ、近くには召使らしき人もいた。
豪華な家具が並び、三人の服はどれも煌びやかで。
間違いなく、貴族の子に生まれ落ちたと、即座に理解した。
『お父様！』
「A、どうしたんだい」
『お花の冠を作ったんです、お父様への贈り物です！』
「そうかい、ありがとう、A」
父は優しく、理解ある人だった。
貴族だからと言って、過度な束縛や期待などはせず、確かな実績を称え、伸び伸びと育ててくれた。
そして、人望の厚い人だった。
『お母様！』
「あら、A、どうしたの？」
『お母様にお会いしたくて、お体は大丈夫ですか？』
「ええ、今日はとても体調が優れているの、久しぶりに、本を読んであげましょう 」
『本当ですか！』
「勿論、ほら、こちらへおいで」
母は、少し身体が弱いようで、ベッドで毎日を過ごしていたが、体調が良い時は、いつも本を読んでくれた。
彼女のベッドの中、彼女の匂いに包まれながら聞こえて来るその声は、私の心を癒してくれた。
『お姉様！』
「A、廊下は走っては駄目よ、この前も注意したばかりでしょう」
『でも…お姉様が見えたので、お話ししたくて…』
「私も、Aとお話しするのは好きよ、けれど、貴族の娘たるもの、気品を如何なる時でも忘れてはいけないわ、だから、廊下は走っては駄目」
『でも、私お外で、メイドさんと、お姉様と一緒に遊びたいです！』
「もう…紅茶を入れてあげるから、それで我慢して頂戴」
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五千時(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！凄く嬉しいです！励みになります〜！更新頑張ります！！ (2020年4月16日 19時) (
レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - このお話最高です！推理要素もあってとても楽しめます。今ある話まで一気読みしちゃいました笑更新頑張ってください！！ (2020年4月16日 18時) (レス) id: abc489c33a (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - Black Aliceさん» コメントありがとうございます！夢主以外の視点も書きます！近々その話が出ると思いますのでお待ち下さい！ (2020年4月13日 19時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
Black Alice(プロフ) - とても面白い小説に巡り会えたと心から思える程、面白かったです!1つ質問なのですが、夢主以外の視点は書いたりしますか？ (2020年4月13日 18時) (レス) id: 10501c80b3 (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！いやぁぴくとさん黒幕で使うの夢だった…！更新頑張ります！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年3月30日 22時
