あたため過ぎにご注意ください（青)

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side 安田


「今日は俺がおもてなしするから、Aちゃんは座ってのんびりしとって！」

そう言ってソファーに促せば、所在なさげにその隅に座るAちゃん。

我が家のソファは、酔っ払って寝ちゃってもええようにデッカいやつやけど、Aちゃんが一人で座っとると、更にデカく見えるな。

借りてきた猫みたいにちょこんと姿勢を正して座っとる姿に、ついつい頰が緩む。

やっぱ、自分ちに彼女がおるって、ええなぁ。

なんて幸せを噛みしめとったら、

「ヤースー！
デレデレしとらんと、さっさとキャベツ刻んでや！」

と、料理長からどやされた。


チッ。

そうやった。

またしても邪魔なクマが一匹おったんやった…


「Aちゃん、はい、ビール。
コレ、つまんで飲んどって〜。」

「え？大倉さんが作ったんですか？
美味しそう。
セロリとイカのマリネ？」

「そうそう、隠し味に少し醤油入れて、和風にしとるんよ？
鷹の爪入っとるからピリ辛やけど、辛いの大丈夫やった？」

「はい、辛いの大好きです！」

キャベツと紅生姜を刻む俺を尻目に、ビール片手に料理の話で盛り上がっとる愛しい恋人とクマ。

ちょお、待ってや。

Aちゃんがリラックスし始めたんは嬉しいけど、この構図おかしいやろ？！

てか、大倉、そんなに顔近づけんなや！


俺の視線に気づいたのか、念が通じたんか、Aちゃんが気まずそうにキッチンに走って来た。

「ごめんね、しょーた。
一人でキッチンに立ってたら寂しでしょ？
やっぱりあたしも手伝うよ。」

そう言って俺の隣に立ってくれるAちゃんの優しさに癒されながら、

なんや、これやったら別に大倉呼ばんくたってよかったやん！

と、さっさと邪魔なクマを追い返す策を思い巡らした。

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